不妊と漢方6.jpg生理血の量が少ないと、病院では”月経過少”と診断されます。しかし、自分で量が多いのか少ないのか、判断をすることは難しいものです。病院でも自己申告に頼り、不妊の診断においてもそれほど重要視されていないようです。
とはいえ、若い時より「生理の量が減ってきた」と心配される女性は多いように思います。生理は子宮内膜の脱落に伴うものですから、その量が減ることは子宮内膜の状態が変化していることでもあり、軽視すべきではないのは当然のことです。
漢方では生理血の色や量、塊の有無から様々なことを読み取ります。もちろん量も重要な判断要素であり、体質を読み取る重要なカギが隠されている事も多々あります。
生理血の量が元々多くて、段々と普通の量に近づいてきた、という場合はまだしも、5日あった生理が3日になってしまった場合などは、赤ちゃんを授かるために良い変化であるはずがありません。
なお、西洋医学で”月経過少”は「子宮発育不全」や「子宮内膜症」の時に起こりやすいと考えます。また、排卵誘発剤として汎用されている「クロミッド」は継続して服用していると生理の量が少なくなる傾向があります。
さて漢方では大きく分けて3つの原因により生理血の量が少ない状態が引き起こされると考えます。ではそれぞれについて見ていきましょう。
血虚(けっきょ)…「血」が少ない状態です。生理の量が減る原因として一番多いのが、この「血虚」に伴うものでしょう。「血」から生理血が出来上がりますから、体内の「血」の量が少なければ、生理も少なくなるのは当然と言えます。出産や授乳によっても「血」は消耗されるため、第2子不妊で、生理血が出産前より減っているという方はこのタイプであると思われます。漢方薬は「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」が良く使われます。
腎虚(じんきょ)…生命力が衰えて、血が十分に作り出せず、生理血が減少してしまった状態です。年齢と共に”腎”は衰えますが、出産や流産でも”腎”は消耗します。よって上記の「血虚」と共に、第2子不妊の主要な原因となります。”腎”を補う漢方薬として「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」や「海馬補腎丸(かいばほじんがん)」などが使われます。
お血(おけつ)…血液の流れが悪いために、子宮から生理血が十分に排泄されない状態です。生理血に塊が多くなり、色は黒っぽくなります。子宮内膜症があり、生理量が少ない方はこのタイプでしょう。「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」などの漢方薬が使われます。
その他の原因が存在することもありますので、詳しくは専門家に相談ください。ご自身がどのタイプか分からない場合には下記の「3分簡単漢方相談」もご利用ください。メールにてもう少し詳しく説明いたします。
3分簡単漢方相談
月経血の量が減少したままでは、なかなか赤ちゃんは授かりません。ぜひしっかりとした対処をしましょう。