不妊と子宮筋腫と漢方.jpg子宮筋腫は成人女性において非常に高頻度に認められる疾患です。生理の状態がひどくなければそのまま放置している方が多いのが現状ですが、いざ子供を望む時になってなかなか授からないとなり病院で検査すると、筋腫が原因と診断されることがあります。筋腫が出来ている場所によっては着床に大きな障害となる可能性があり、治療が必要と診断されるでしょう。
しかし子宮筋腫を手術で取れば必ず妊娠する訳でもなく、また大きな筋腫がある方でも妊娠している方は多数いらっしゃいます。よって手術に抵抗感を持つ方も少なくありません。
西洋医学では筋腫が小さくなるということは、閉経にならなければあり得ないと考える先生がほとんどですが、現実に漢方薬で小さくなった方は存在します。また子宮筋腫が体の中に発生したという事実は、何かしらの体のバランスの乱れを示していると漢方では考えます。よってそのバランスを整えることが、子宮筋腫という問題だけでなく、妊娠しやすい体作りのためにも必要であると思われます。
子宮筋腫がある方の場合、漢方で考えると「お血」体質の可能性を一番に考慮します。「お血」とは血行が悪い状態であり、その「お血」の存在が子宮の中で”塊”を作り出したと考えるのです。逆に新鮮な血液が滞りなく子宮全体に行きわたれば、キレイな子宮の細胞となり、質の良い子宮内膜の形成につながるとされます。
さらには「気」の巡りについても考慮すべきです。「気」は「血」を動かす作用がありますので、「気」の巡りの停滞は「血」の巡りの悪化、すなわち「お血」につながる可能性があります。
よって子宮筋腫の漢方的な対処方法としては、「血」と「気」の巡りの改善をもっとも重要視して考えます。具体的には「水快宝(すいかいほう)」という水蛭の入った製剤や、ピクノジェノール製剤、「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」、「田七人参(でんしちにんじん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などが候補として挙がります。また「血虚(けっきょ)」体質がある方には「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」を選択する場合もあるでしょう。
これらの漢方薬で、もっとも体質にあったものを選択して服用します。場合によっては、10cmの筋腫がほとんどなくなったというケースもあるようです。
ただし子宮筋腫がある場所によっては、手術を選択した方が良いという事もあり得ます。お薬の選択も含め、十分に専門家に相談したうえで方針を決めて下さいね。