不妊と排卵痛と漢方.jpg排卵痛は生理痛よりもそれを感じる女性が少ないため、その存在を知らない方も多いようです。西洋医学的にも、月経困難症と呼ばれる生理に伴う諸症状についての記載は良く見かけますが、排卵時に関してはほとんど目にすることがありません。しかし痛みに困っている女性も少なく無く、また不妊の原因となっている可能性もあり、軽視は出来ない症状だと考えます。
排卵痛の原因も明確にはされていません。排卵前に痛む方もいれば、排卵後が辛い方もあり様々です。排卵痛が起こる理由として現在考えられている要因は以下の通りです。
1)卵胞が排卵に向けて成長する途中で卵巣を圧迫して起こる
2)排卵時に卵胞が破れ、その直接刺激や出血に依る
3)排卵後のホルモン変化や卵巣の炎症
よって、1)が原因の場合は排卵前に、2)の場合には排卵中もしくは直後、3)の場合は排卵後に痛むはずです。排卵痛のある方で赤ちゃんを望まれている方は、痛みがある時がタイミングであると信じている方もいらっしゃるかもしれませんが、微妙にずれているケースも多いと思われます。不妊の原因とも成りかねませんので、知識として覚えておきましょう。
不妊で病院にかかっている方も排卵痛を気にしていないケースは多いのですが、多少の違和感程度であればまだしも、横になりたくなるようなケースや痛み止めが必要な状態は何か体に問題があると考えるべきです。
排卵がスムーズに行われれば痛みは生じないはず。大事な排卵期をもっとも良い状態で迎えるためにも漢方薬の服用を検討しても良いでしょう。
さて漢方の理論で排卵痛を考える場合、まず「気滞」次に「お血」を疑います。
排卵期はホルモン変化がもっともダイナミックに行われる時期です。よって「気」すなわちエネルギーの巡りが悪い状態があると、ホルモンのバランスが悪くなり、痛みの原因となると考えます。排卵時の胸やお腹の張り、精神的なアップダウンは「気滞」体質の特徴です。痛みに合わせてこのような症状がある方は「気滞」対策として「逍遥丸(しょうようがん)」や「開気丸(かいきがん)」と言った漢方薬が適するケースとなるでしょう。
一方で「お血」の場合は、卵巣嚢腫などが見つかるケースもあります。「お血」すなわち血行が悪いために出血も起こりやすくなります。このタイプであれば、排卵期に肩こりや頭痛が悪化したりする場合もあるでしょう。「お血」対策としては「水快宝(すいかいほう)」や「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」「田七人参(でんしちにんじん)」と言った漢方薬がお勧めとなる場合が多いでしょう。
ちなみに漢方の周期療法(周期調節法)も排卵期には原則として「気滞」「お血」対策の漢方薬を選択します。排卵痛が無い方も、排卵期には極力気血の巡りを良くするべきであると考えましょう。
なお「気滞」が生じる最大の要因はストレスです。不妊の方は排卵期が来ると「今度こそ」と意識してしまったり、ご主人に気を使ったりして、「気」の巡りを悪くしてしまっている可能性も考えられます。リラックスして楽しく自然に夫婦生活を行うことが排卵期には必要なのです。簡単では無いかもしれませんが、子供は”理論的”ではなく”本能的”に授かるものであることを理解して日々夫婦仲良く過ごしましょうね。