不妊と体重.jpg「太っていると妊娠しにくい」という記事を見かけることがあります。確かに欧米では不妊と肥満の関係がクローズアップされており、何件かの報告が成されているようです。女性にとって体重は普段から気になる数値ですが、不妊との関係もあるとなるとさらに神経質になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、基本的には欧米の見るからに太っている方が問題なのであり、日本人の大部分の方にはあまり当てはまりません。BMI(体重÷身長(m)÷身長)が30を超えていなければ、心配し過ぎる必要は無いでしょう。ちなみにBMI30は身長160cmで約77kg、身長150cmだと約68kgです。
しかしながら、体重が増えると男性ホルモンが増える傾向にあることは知られており、これはもちろん良いとは言えない要素です。そして多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と体重には関係があるとされ、体重増加に依り排卵しにくい状況が生まれてくるとされます。
また漢方的に考えてみても、体重が適正値より重い要因として、体のバランスの乱れが考えられます。要するに何か理由があって体の中に不要物がたまってしまっているために、体重が増えていると考えるのです。そして、その体のバランスの乱れも妊娠に影響を及ぼす可能性は否定できません。
よって太っているから妊娠できないという訳ではありませんが、体重が重い方より適正体重の方の方が妊娠しやすい傾向にあるとは考えられます。
一方でダイエットで無月経になる方が多いことも知られている通り、やせすぎも不妊の原因となります。体重低下は生命維持の危機にもつながり、ホルモンバランスを乱します。
結婚式などに向けてダイエットをする女性も多いとは思いますが、無理をして体重を落としても体に負担がかかるばかりです。適切な方法で体に優しいダイエットを行っていきましょう。
また、太りたくても太れない方は胃腸系が弱い可能性が高いため、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などの漢方で体質改善をして消化吸収力をアップさせ、体重増加を目指しましょう。
なお、不妊治療中はホルモン剤などでむくみが出やすくなり、またピルも体重増加の副作用が知られているとおり、太りやすい傾向にあるようです。そして病院通いやなかなか結果が出ないストレスによって、過食気味になったり甘いお菓子をなどを食べる機会が増えて太ってしまう方もいらっしゃるでしょう。
このようなケースでは、消化を助ける「晶三仙(しょうさんせん)」を使用したり、”気”の巡りを改善してストレスをためない体作りを考えて「逍遥丸(しょうようがん)」を服用すると良いかもしれません。
しかしながら、体重の問題は運動不足、食べ過ぎ、ストレスの要素でほぼ決まるため、こういった生活習慣を改めることがもっとも大切なことです。それでも変化が無い場合や、現実的にストレスを避けたり運動をすることが難しい場合には、体質判断を専門家に仰ぎながら、漢方薬を上手に使って体質改善に努めてみて下さいね。