不妊とFSH.jpg
FSHはfollicle stimulating hormoneの略称であり、卵胞刺激ホルモンのことです。文字通り、卵子が育つ卵胞を刺激して、卵胞の成長を促す役割があるとされます。いわばFSHは卵巣に「働け~!」と命令を出すホルモンなのです。脳下垂体から分泌されます。
このFSHは、卵胞の発育が悪いと多く分泌されると言われています。よって血中のFSH値を測定し、卵巣機能の指標とします。
一般的には生理開始3日目の値で、4~7であれば正常と言えます。また15ぐらいまでの値であれば境界線となりますが、50を超えて70近くなると卵巣機能の低下が著しく、閉経が近いとも考えられます。
ただしFSHの数値は周期ごとに変化します。一度高い数字が出てもすぐに焦る必要はありません。また高い数字が続いていても急に低くなるケースが存在します。前述の通り、FSHは脳から出るホルモンです。脳を休ませてリラックスさせることが良い結果につながることも覚えておきましょう。
ちなみにAMHを卵巣機能の指標にするケースも多数あります。しかしながら、FSHの方が参考になるという意見も多いようです。
さてFSHが高い原因は基本的に卵巣の老化であり卵の質に影響を与えると考えます。そうなると体外受精の結果にも響いてきますし、病院に依っては治療できないと言われるケースもあるでしょう。しかし、値はあくまで指標です。あまり気にし過ぎるとストレスがかかり、さらにFSHに影響を与える悪循環にもなりかねません。
参考にしながら漢方薬を使うことで、赤ちゃんに結び付けることが可能です。もちろん特効薬などはなく、年齢が高い方が多いため、「ゆっくりと」とは言っていられない状況ではありますが、根気よく体質改善を目指してみましょう。
中医学的に考えると、FSHの高値は「腎」機能の低下と捉えます。「腎」はすなわち生殖系であり、その衰えは年齢と共に必ずやってきます。しかしその変化を穏やかにする漢方薬は存在します。「補腎薬」と呼ばれる漢方であり、これはすなわち卵子の質を回復させ、不妊対策につながります。
「補腎薬」には様々な種類があり、その方の体質に依って使い分けます。簡単に分ければ、身体が冷える方は「参馬補腎丸(じんばほじんがん)」や「オリジン」など、身体がほてったり暑がりの方は「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」や「知柏地黄丸(ちばくじおうがん)」などを使用します。
また、体質の寒熱に大きな偏りが無い場合には、最近漢方の不妊治療で多く使われる周期調節法の理論を用い、FSH分泌が多くなりやすい時期である低温期に「杞菊地黄丸」を服用する方法も考えられるでしょう。
さらには、最近「ミンハオ」という「珍珠母」と「琥珀」の入った漢方薬が発売され、その漢方を服用された方のFSHが下がったという例が出ています。これらの生薬は、気持ちの安定化につながりますので、その作用が脳下垂体から分泌されるFSHの調節に役立ったのかもしれません。そして、「ミンハオ」は睡眠の質を良くするので、その結果、睡眠中のホルモン分泌の状態を整えた可能性もあると思います。
FSH値が高く「卵巣が老化しています」と言われるとショックですよね。しかし、確かにFSHが低い方が良いですが、高くとも妊娠した例はありますので、気にし過ぎずに、かといって対策も頭には入れつつ治療をしてきましょう。繰り返しますが、リラックスがとても重要ですよ。