不妊漢方たんぽぽ茶.jpg最近問い合わせや質問の多い商品の一つに「たんぽぽ茶」があります。何となく可愛らしいイメージのある”たんぽぽ”。そして手軽に飲めるという”お茶”が組み合わさって、ヒット商品にもなりつつあるのではないでしょうか。
「たんぽぽ」はもちろん植物ですから、漢方に近い分類になるために、ご質問も多いのでしょうし、漢方薬と併用して飲んでみたいという方が多い点も納得です。そこで今回はこの「たんぽぽ茶」について私なりに考察してみます。
まず最初に「たんぽぽ茶」は法律上は「食品」であることを知っておきましょう。厚生労働省で”効果がある”と認められた「医薬品」ではありません。口コミやネット上で感想として「冷えに良かった」「飲んだら赤ちゃんが授かった」「代謝が良くなりやせた」などの意見が出ているようですが、客観的で正確な医学的データが取れている訳ではないことをまず最初に理解しておく必要があります。
さて問題の「たんぽぽ茶」で使われているたんぽぽの根ですが、「蒲公英」と呼ばれる生薬であることは間違いなく、何千年も前から使用されています。その性質は「清熱解毒」「消腫散結」とされ、要するに化膿した疾患に効果があると規定されています。乳腺炎にも効果があるといわれ、確かに授乳中のトラブルには合っていると思われます。
ただ、まず一つ目の問題は性質が「寒」であること。冷えに良いとされるとネットでは記述されているようですが、性質は全く逆で体を冷やす性質があります。
そして二つ目として、このお薬単独ではなく、他の生薬と組み合わせて乳腺炎にも対処してきた歴史があるということ。すなわち「蒲公英」単独ではそれほど大きな効果は期待できないという意味を持ちます。
また三つ目としては、赤ちゃんを授かるために期待出来るような効果の規定はあまり無いということです。
私の知っている「蒲公英」の本来の使い方としては、まずは悪性腫瘍。そして排尿のトラブル。最後に乳腺炎でしょうか。とは言え、決して使用頻度の高い生薬ではありません。
確かに体質的に”熱”があるタイプで、卵管の詰まりや筋腫などがある方には合う可能性がある生薬です。しかし、もちろん万能ではありませんし、どなたにでも良いという訳ではないのです。
ちなみに他の漢方薬との相性が悪いという訳ではありませんので併用は可能ですが、せっかく冷えに対処する漢方を服用していても「たんぽぽ茶」をたくさん飲んでしまうと…という懸念は考えられます。逆に”熱”タイプの方には、漢方薬を補佐する役目も出てくるでしょう。
いろいろ述べてきましたが、「たんぽぽ茶」が体に非常に害があるとは思えません。ノンカフェインで手軽に飲めて、それでリラックスが出来るのであれば、飲むメリットはあると感じます。冷え症の方だけは気をつけて頂きながら、あまり過度な期待はせずに、楽しみながらたんぽぽ茶を飲んで頂くといいのではないでしょうか。
(参考図書;中医臨床のための中薬学(医歯薬出版))