不妊と性欲と漢方.jpg人間の三大欲といえば、食欲、睡眠欲、性欲とされます。どうしても性に関してはあまりオープンにはされない部分であるため、性欲は食事と睡眠ほど重要視はされていないですよね。
しかし、食べたくない状態が続いたり、眠りたくないという気持ちがあるような方は、体調的に大きな問題があることは明白です。性欲については”理性”で抑えるという部分があるため、同列に考えるべきではないのかもしれませんが、それでも、性に対して全く感情がわかないという体の状態に関してはもっと深刻に考えるべきと思います。
不妊の相談をされている方についても「赤ちゃんが欲しいから」という理由で消極的な夫婦生活をしている方が多いように感じます。やはり理想は、夫婦で愛し合うことが先であり、その結果として赤ちゃんは授かります。
これは気持ちの問題ではなく、体が相手を求める状態が自然と出来上がっているべきです。「頭ではなく、体が動く」ことが大事ではないかなと思うのです。
要するに、体がバランスのとれた良い状態であれば、自然と性欲はわき、好きな相手が近くにいれば、自然に欲するはずです。しかしそうでない場合には、体に何か崩れがあると考えるべきでしょう。
特に男性は、中医学で「陽」に分類されているとおり、女性を積極的に求めていくべき生物です。しかしながら不妊の相談を女性から受けていると、ご主人からの誘いがないため、排卵日近辺で奥様から伝えているというケースも多いようです。このような場合において、男性の精子の状態が素晴らしいとは言えない可能性の方が高いことは間違いありません。
「仕事で疲れている」「眠い」「めんどう」「ゲームの方が楽しい」という理由に負けてしまうということは、性に対する”欲”がないということであり、異常とまでは言えなくとも「不妊」につながっていると言えるのではないでしょうか。
性欲減退は、中医学的には「腎」の力の低下で定義されます。「腎」とは生命力・生殖力のことであり、年齢とともに衰えます。よって少しずつ性欲も低下してしかるべきなのですが、それでもその衰えが急激であると、不妊に影響を与えます。
明白な根拠(睡眠不足、病気、極度の疲労やストレスなど)が無いにも関わらず、性欲が無いという方は、「腎」の低下が疑われます。漢方薬として「補腎薬」で定義される「六味地黄丸(ろくみじおうがん)」「参馬補腎丸(じんばほじんがん)」などを体質に合わせて服用すると良いでしょう。
ちなみに性欲減退は女性に対しても当てはまります。女性も男性を自然に求めるはずであり、そうではなく赤ちゃんが欲しいために我慢している場合などは、「腎」のケアを考えるべき状態かもしれません。赤ちゃんがなかなか授からない不妊の方で思い当たるふしのある方は、「補腎薬」の服用をぜひ検討しましょう。