最近腎臓が生体に及ぼす影響が注目されているようです。腎臓と言えば、血液中の不要物をろ過し、尿を作り出す器官であるという考えがされてきました。しかしそういった基本機能だけではなく、腎臓は他の臓器にも命令をだし、生体維持のバランスを担う役割があるという研究結果が出てきているそうです。
一方、古代からの中医学の考え方では「腎」は生命力と関係する器官とされ、人体で非常に重要な役割を持つ臓と言われてきました。体の奥深くにある「腎」が、その他の臓の機能を支える役割があるのです。現代医学はようやく中医学の考えに追いついてきたのかもしれませんね。
そして「腎」は生殖力とも関係するため、妊娠力は「腎」の力を高めることによってアップするとも言えます。「腎」が満たされていると体全体の状態が若々しくなり、健康な体となる下支えが出来、当然ながら妊娠しやすくなると考えられます。
ただ「腎」は増えることはなく、加齢とともに衰えるとされます。よって、年齢とともに妊娠しにくくなる原因は、「腎」が衰えていくためという側面もあるのです。
さらに現代の睡眠不足などの体に無理がかかる生活は「腎」を傷める要因となります。体に負担をかけてきた方が晩婚となれば、どうしても「腎」は弱っていて、授かりにくいという状態になってしまいやすいのです。
よって「腎」を補うとされる漢方薬が妊娠力アップの切り札となります。具体的には「腎陰」を補う「六味丸」「杞菊地黄丸」などや、「腎陽」を補う「参馬補腎丸」「紫河車(オリジン)」など、「腎精」を補う「星火亀鹿仙」などが挙げられます。
とはいえ同じ「腎」不足であっても、体質が異なれば、適する漢方薬も異なってきます。しっかりと漢方相談を行ったうえで、服用する「補腎薬」を決めていきましょう。
ちなみに「腎」を守る、強くするためには、まず無理をしないことが大切。過度な運動や性生活、睡眠不足などが良くないとされます。そして、黒い食材である、貝類や海藻類、黒豆やキクラゲなどを意識して摂ってみましょう。ヤマイモ、ゴマ、エビなどもおススメです。
もちろん「腎」だけが問題ではない不妊も多く、「腎」のケアだけで赤ちゃんが授かるとは言えません。しかしながら「腎」を強化することは、妊娠のみならず健康長寿にもつながる大事な要素であり、体にとって損はありません。ちなみにこれは男女ともに言えることですよ。検査数値などに問題がある方もそうでない方も、ぜひ「腎」の力を高めることを考えてみて下さいね。