イボにヨクイニン.pngイボで悩んでいる方は多いようです。実はこのコラムも店頭のお客様からのご希望で書いています。西洋薬の特効薬もなく、再発しやすく、また美容の点からも気になる病気ですね。私も子供のころ、たびたび水イボが出来て病院でつぶしてもらった記憶があります(ピリッと痛くて嫌いでした)。
さてこのイボの原因ですが、タイプによってはウイルス感染によるものであると解明されています。ウイルスが原因の場合、それが体中に移る可能性があるので厄介です。もちろん他人に移してしまう可能性もあります。しかしウイルス感染とは違う形態のイボも存在します。この場合の原因ははっきりしません。老化現象などによるタンパク異常と思われますが、いずれにせよ西洋医学では対応できない種類の病気ですから、漢方薬の出番となります。
漢方では、まずイボの状態を観察します。イボの種類、形態によってその原因をある程度把握することが出来るのです。さらに患者さんの体質も考慮します。その上でお薬を決定していきます。
参考までに、タイプ別の対処方法を挙げました。しかし簡単な判断ではありませんので、専門家に相談することが肝要です。
水イボタイプ…色は肌と同じかやや白っぽいタイプで、つぶれると液体がにじみ出ます。小児に多いタイプです。水イボタイプは、中医学でいう「湿」が原因である可能性が高く、余分な「水分」が体に溢れて、イボとして発生したと捉えます。この場合に有効な漢方薬が「よくいにん(はとむぎ)」です。昔から「イボにはよくいにん」と言われるほど有名なお薬ですが、これだけではなかなか効果がないのが現状です。服用の場合は1日30g程度摂取すべきとされています。
「よくいにん」は確かに「湿」を取る作用を持っていますが、単独での力は強くありません。「五苓散(ごれいさん)」や「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」などと組み合わせることにより、効果を実感できるでしょう。
白く固いタイプ…白っぽく表面がガサガサしたやや固いイボです。このタイプは「痰」という、固定化した水分が原因と考えます。水イボタイプより、やや治りにくい状態です。この場合には「痰」体質を改善する「温胆湯(うんたんとう)」などを使用します。また「よくいにん」の併用も効果的です。
色が付いているタイプ…中年以降に出来るタイプで、黒っぽいイボが出来、大きくなります。このタイプのイボは「痰」に「お血(血液ドロドロ状態)」が関係している可能性が高く、治療もさらに難しくなります。前述の「温胆湯」の他、血行を良くする「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」や、場合によっては「シベリア霊芝」などの免疫改善の薬を用いることもあります。
さてすべてのタイプに共通していることですが、「免疫力」が衰えているために、皮膚にウイルスが感染したり変形をして、イボが生じてしまうのです。「免疫力」が衰えているということは「気(エネルギー)」が不足しているということです。「イボ」という一面だけに捉われずに、体が弱っているからイボが出来るのだと考えて、体質改善に努めると良いですね。