さめ肌と漢方.jpgさめ肌はとり肌と呼ばれることもあり、ざらざらとした感触をもつ肌を指します。西洋医学的には「毛孔性苔癬」という病名がつくこともあるでしょう。主に10代、20代に多く、太ももや上腕部などに生じやすく、特に女性は美容上、気になることも多いと思います。
とり肌と言えば、寒い時に体が反応して起こる一時的な症状ですが、さめ肌の方は慢性的に同じような肌の状態が続いてしまいます。ただし、夏の暑い時期には症状が軽減する傾向があり、また年齢と共に改善することも多い皮膚病です。よって薬などは基本的に使用し過ぎず、特にステロイドは控える方が良いと思います(痒みがあまりにもひどい時には適度に使用)。
悪化しやすい時期が冬であるという点からも明白ですが、さめ肌は肌の乾燥と密接に関係していると言われています。医学的には遺伝的要素が大きいとされる本疾患ですが、乾燥肌体質を体の内面からケアすることは決して悪いことではないと思います。それが肌の状態の改善だけでなく、総合的な体調管理にもつながっていくのではないでしょうか。
さて、中医学的なさめ肌の捉え方は乾燥肌の場合と似ているのですが、さめ肌は若い年齢で生じる点、比較的肥満傾向の方に多い点などが特徴です。中医学の用語としては「肌膚甲錯(きふこうさく)」という言葉があり、さめ肌と似たような症状として捉えます。そして、この「肌膚甲錯」は乾燥にプラスして「お血(おけつ)」すなわち血行不良の状態があるとされるのです。「肌膚甲錯」は一般的なさめ肌より重い状態ですが、乾燥、すなわち「津液不足(しんえきぶそく)対策と、「お血」対策が重要であることを示唆しています。
よって漢方薬としては、もちろん弁証(体質の診立て)を行ったうえでの判断が必要ですが、「血」を補って潤いを肌に与えながら血行改善も期待できる「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」が候補の一つとなります。その他「紅沙棘(ほんさーじ)」なども適する場合があるでしょう。
なお、さめ肌体質を生じさせている原因は主に食生活の乱れにあると考えます。チョコレート、スナック菓子、清涼飲料水、ファーストフード、カップラーメンなどの食べ過ぎが胃腸の働きを阻害して、「お血」を生みだしているケースが多いのではないでしょうか。心当たりのある方はまずこのような食生活を見直しましょう。
また睡眠不足も「陰血」を消耗させ、体を乾燥させるとされます。勉強だけでなく遊びや部活などに忙しい思春期ですが、体に無理をすると後になってはね返って来ます。出来る限り規則正しい生活を心がけましょうね。