水虫漢方.jpg水虫には非常に悪いイメージがあるようです。「不潔」「感染する」という印象が強いですが、清潔にしていても感染することはありますし、逆に家族全員が水虫でも一人だけ大丈夫という方もいます。
確かに発病するとなかなか根治が難しく、また痒みがひどいと不快になる皮膚病です。とはいえ、対策はある程度はっきりしていますし、重症になることはそれほど多くありません。侮ってもいけませんが、あまり神経質になり過ぎないようにしましょう。
水虫は白癬菌が原因で起こることが分かっています。しかし水虫で治療に訪れた人の3分の1に菌が見つからなかったという報告もあり、症状だけであまり決めつけ過ぎてもいけません。薬を安易に自己判断で使用することは、例え外用でも控えめにするべきでしょう。
なお症状が重い場合には皮膚科で内服薬が処方されることもあります。白癬菌を倒すための抗真菌剤と呼ばれるものですが、肝臓への負担が大きいことが知られています。爪白癬や頭部白癬など、外用薬が塗りにくいケースでは致し方ないケースもありますが、使用には十分に注意しなければなりません。
さて漢方の考え方では、水虫の症状は「湿」すなわち余分な水が体内に溢れていることが原因の一つと捉えます。もちろん細かな体質判断が必要ですが、水虫はその名前のとおり水が好きですから、その水の対処が症状改善のポイントとなるのです。
これは決して水を飲まない方が良いという訳ではありません。体内で発生する余分な水分「湿」の除去が必要であると考えます。
具体的には「茵ちん五苓散(いんちんごれいさん)」や「瀉火利湿顆粒(しゃkりしつかりゅう)」「五行草(ごぎょうそう)」などの漢方薬が「湿」の除去に優れています。足が蒸れやすく、どうしても水虫が治らないと言う方は、体内からのケアを考えてみても良いでしょう。
とはいえ、乾燥肌であるにもかかわらず、水虫に悩まされているという方もいらっしゃいます。そのような方は別の観点から原因を考えるべきですから、漢方薬局でしっかりと相談してから服用する漢方薬を決めましょう。
また、外用薬の「華陀膏(かだこう)」は昔から非常に定評のある水虫薬です。当面の痒みを抑えるためには外からのケアも重要ですから、こまめに根気強く塗ってみましょう。
基本的に白癬菌は乾燥に弱いとされます。水虫の対処の基本は乾燥を心がけること。夏場は難しい面もありますが、出来る限りの対策を取って下さい。なお足ふきマットなどは特別な殺菌は必要ないとされます。また手に触れても洗えば発病はしません。
水虫の治療は根気が必要です。症状が良くなっても、菌はどこかに潜んでいて、繁殖の機会をうかがっているのです。良くなったと思っても油断せずに、最後まで薬などで完璧に退治をしましょうね。