掌蹠角化症と漢方.jpg掌蹠角化症は手のひら、または足の裏がひび割れた状態になることを言います。皮膚の角質層が異常をきたし、硬く厚くなるため、感覚がにぶくなるなど生活に不便をきたします。
また角化症自体は、ヒザやヒジ、カカトなどにも出来やすいのですが、こちらは外見的な変化のみのことが多く、日常生活で困るような症状を呈すことはあまり無いでしょう。とはいえ、比較的目立つため、美容の観点から何とかしたいと考える方も多いかと思います。
掌蹠角化症は先天的な遺伝が原因となる場合と、後天的な原因が存在するケースがあるとされます。遺伝が関係しているケースは、原因遺伝子が特定している種類もありますが、いずれにせよ治療は対症療法主体となります。程度にも依りますが、ワセリンなどでスキンケアをすることを病院では勧められると思います。
ちなみに掌蹠膿庖症は似た名前ですが、膿疱症は内面からジュクジュクしているのに対し、角化症は基本的には外側がひび割れてカサカサとなります。また掌蹠膿庖症は痒い場合が多いでしょう。そして掌蹠角化症は女性に多い傾向があるようです。
このような重々しい名前が付くと何か大変な病気のように感じますし、遺伝病となるともうどうしようもないという気にもなりますが、乳幼児から発症している場合や程度が重い場合はともかく、スキンケアや体の内部のケアに依り症状を軽減することは可能です。漢方の理論を用いて、体系的に対処をしていくと良いと思います。
角化症を漢方で考えると、カサカサのヒビ割れた皮膚は間違いなく「血虚」と判断します。皮膚を潤す作用を持つ「血」が不足しているために、カサカサ状態が生じると考えるのです。生理や出産などによって女性は「血虚」になりやすいため、角化症は女性に多いということと関係しているかもしれません。
よって角化症を体の内面から治すためには「血」を補う必要があります。ただし「血」を補う薬は体を温める作用を持つものが多いのです。角化症も皮膚炎であるため、あまりに温め過ぎるとかえって症状が悪化してしまいます。よって「補血」と「清熱」の生薬を配合した「温清飲(うんせいいん)」が第一候補の処方となります。なお場合によっては「補血」の力が強い「婦宝当帰膠」を用いるケースもありますが、温め過ぎには十分注意しなければなりません。
またスキンケアも非常に重要となります。漢方の保湿ローションの「瑞花露ローション」をコットンを使うなどして十分浸透させた後に、保湿クリームの「瑞花露クリーム」で覆うようにします。もしくは保湿・清熱の作用が期待できる「セ・サージ」を使用すると、さらに症状の改善が期待出来ます。
いずれにせよ、角化症に対してはやや長い目で見た対処が必要となって来ます。体の中と外から根気よく治療してみましょう。