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手や足に出来る隆起物、私たちが良く使う言葉は「たこ」ですが、専門用語では「胼胝(べんち)」と言いいます。ちなみに、「胼」も「胝」も訓読みで「たこ」と読めるそうです。「たこ」は痛みなど、自覚症状はほとんどありません。医学上は角質の増殖によって起こると定義されます。
一方で「うおのめ」は、似た形状ではありますが、円錐の中心部分が落ち込むために痛みが生じます。医学的には「たこ」と同じく角質の増殖から起こる症状でありますが、痛みの原因となる皮膚内部への増殖を伴う点が大きな違いになります。ちなみにこちらは専門用語では「鶏眼(けいがん)」と云います。「うおのめ」なのに「とりのめ」って書くのは面白いですよね。
「たこ」も「うおのめ」も皮膚に圧迫や摩擦が加わって生じる症状です。原因が基本的にははっきりしているので、その対処方法も理屈上、簡単になります。
また治療方法も単純で、角質部分を切り取れば治ります。もちろん皮膚科での治療となりますが、短時間で済みます。よって薬で治すようなことはしません。
「たこ」に関しては、私もペンだこをよく作ったもので、今でももちろん残っています。このように日常生活で気にならなければ何ら問題はありませんが、立ち仕事の方などに生じる、痛みを伴う「うおのめ」を繰り返すようなケースだけは要注意です。ハイヒールなどの窮屈な靴が原因の場合が多く、その改善が出来る状態であれば良いのですが、仕事などでどうしても避けられない場合には何か対策を考えなければなりません。
「うおのめ」を予防できる漢方を考えていく際に、その原因体質を見極めることが重要です。基本的には「お血」が原因であることが多いように感じます。「お血」とは、血行不良状態であり、「たこ」や「うおのめ」が生じる時の状態を考えれば、「お血」が存在するであろうことは容易に想像がつきます。
しかしながら「お血」改善の漢方薬で「うおのめ」を完全に予防できるかと言えば、なかなか難しいようにも思います。やはり「お血」対策を考えながら、物理的な圧迫などを減らすことが肝要でしょう。
ちなみにイボを治すことで有名な「ヨクイニン」いわゆるハトムギですが、こちらは「うおのめ」対策としても使えます。理論上は「水湿」を取り除くことでイボを治す作用を発揮する「ヨクイニン」ですから、硬い「うおのめ」の治療には向かない気もしますが、消腫(腫れを除く)のような作用もあるとされるので、「うおのめ」に効いても不思議ではありません。一度お試し頂くといいかと思います。
また塗り薬も考えられ、有名な「紫雲膏(しうんこう)」には効能効果として「うおのめ」がちゃんと記載されています。炎症を鎮め、痛みの緩和に役立ちますのでお困りの方はぜひ使ってみて下さいね。