粘膜強化漢方.jpg「私はなんとなく粘膜が弱いなあ」と実感している方、いらっしゃいませんでしょうか。口内炎が出来やすい、肛門が痛む、鼻の中が荒れやすい、ノドがすぐに痛くなる…などなど。感覚的に粘膜がある部分に異常が起こりやすいという印象をお持ちの方は多いように思います。確かに粘膜って弱そうですよね。
大学では粘膜の防御にはIgAという抗体が関係していると習いました。詳しい話は割愛しますが、免疫の仕組みが異なるのですよね。
言わば粘膜は体と外界を隔てる前線基地の役割があります。絶えず敵からの攻撃にさらされる先鋒隊であり、その力が弱いと様々な病気にもかかりやすいと考えられます。
さて、粘膜はその表面が粘液で潤っているという特徴があります。その粘液が防御の役割も担っているのですが、その粘膜の潤いの欠如が免疫力とも大きな関係があると考えられます。よって、「粘膜が弱い」と感じていらっしゃる方は、潤いが足りないという可能性が第一に原因として挙げられるように思います。その潤いが足りていない原因は、単純に水分摂取の不足であるとも限らないのですが、それでもこまめにお茶などを飲むようにするだけで症状が軽減する可能性があると思います。まずはその対策を考えてみてはいかがでしょうか。
しかしながら医学的に粘膜を強くすると確認されている具体的な薬や方法は無いと思います。となれば、漢方の考え方の出番です。粘膜強化を考えている方は、漢方の理論に基づく漢方薬の服用を検討してみてはいかがかと思います。
具体的に漢方では「衛気(えき)」という考え方があります。「衛気」とは体を守る表面の「気」すなわちエネルギーのこと。この「衛気」不足はバリア力、免疫力の低下に他ならず、粘膜の機能とも密接に関係していると考えられます。
よって、この「衛気」の強化が粘膜の力を高めることにつながっていくと理解できます。
「衛気」を補う漢方薬としては「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」という名前の処方があり、「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」という商品名で販売されています。「玉屏風散」は「玉のような屏風を立てて、風をシャットアウトする」というような意味があります。まさに粘膜を守る切り札という感じですよね。このお薬の服用は粘膜の強化につながっていくと考えます。
とはいえ、先述したように、潤い不足が粘膜を弱らせる原因となっているケースなど、「衛気」不足以外の他の要素も絡んでるケースも考えられます。漢方的な体質判断をしっかりと行ったうえで漢方薬の服用を決定しましょう。
粘膜はいわずもがなですがとってもデリケートな部分。しかし粘膜が強ければ、様々な不快症状を減らして、ひいては大きな病気の予防にもなり、健康的に過ごせるはずです。ぜひ皆様も粘膜強化対策を考えてみて下さいね。