沙棘(さーじ)はグミ科の植物で、黄色い可愛らしい果実を付けます。この果実は「生命の果実」と呼ばれ、薬用として古くから用いられてきた歴史があります。チベットなど北部、西部で取れる植物のためか、漢方の生薬の主役としては使用されませんが、チベット医学では様々な病気の治療に用いられてきたそうです。
一時期はダイエットに効果があるとして、宣伝されたこともありました。
この沙棘を科学的に分析すると、ビタミンEやビタミンA、Cの他、フラボノイド、アミノ酸や微量元素が豊富に含まれていることが分かっています。さらに現代医学の研究では、抗酸化作用、組織修復促進、抗アレルギーなどの効果があるという結果も出ています。
漢方の資料においては、沙棘は去痰、健胃などの作用があるとされ、咳や痰、胃腸症状などに用いられてきたようです。しかし今では沙棘フラボノイドは心臓病などをはじめとする生活習慣病に、沙棘オイルや沙棘果汁は美容や皮膚病の目的に利用されています。今回はそれぞれの特徴を見ていきましょう。
◎沙棘フラボノイド…沙棘の果皮、果肉から抽出されます。心臓や脳の血管に働きかけて、狭心症や高脂血症の予防になるされ、いわゆる生活習慣病対策に効果的です。また高山病対策になるとされて、世界の高山を登る登山者に愛用されています。「心沙棘」という名前で商品化されています。
◎沙棘油(オイル)…沙棘の実から抽出精製します。ビタミンEが豊富に含まれているため、抗酸化作用を持ち、美容、特にシミ対策に応用されます。粘膜保護修復の作用があるため、胃の荒れや口内炎、やけどにも良いですよ。皮膚に潤いをもたらすため、女性はお化粧ののりが良くなるという話をよく聞きます。「紅沙棘」として商品化されています。
◎沙棘果汁…ビタミンCが豊富です。美白によいとされます。以前は「沙棘精」という名前で販売されていましたが、現在は製造中止になっています。
この中で皮膚に良いものは、もちろん沙棘油です。体の内側から、アトピー体質、乾燥肌体質を治していく際に有効です。また、この沙棘油成分が含まれたクリームもあり、外用としても効果を期待できます(商品名;セサージ)。
体の内側と外側、両面からの肌のケアのために、沙棘は役立ちますよ。専門家に相談のうえ、お試しになってみて下さいね。