腫瘤とは、こぶ、しこり、できもの、のことです。医学の用語としては、腫れ(腫脹)全般を腫瘤と定義しています。以前コラムで「アテローマ」について書きましたが、アテローマも腫瘤の一つと言えます。
様々な腫瘤がありますが、耳にする機会が多い腫瘤の一つが、乳房の腫瘤です。「乳がんかも」と検査をする方のほとんどが良性の腫瘤(しこり)であると言われています。また、甲状腺の腫瘤や、子宮や卵巣の腫瘤も頻繁に起こる病態と言えるのではないでしょうか。こう考えると、腫瘤はどちらかといえば女性に多い疾患と言えるかもしれません。

腫瘤は触れて確認できるため、気になる方も多いでしょう。良性であることがほとんどであると分かっていても、やはり「普通」とは違うと気持ちが悪いものです。また、腫瘤の感覚が強くなると、触れなくても違和感を感じる状態ともなり、ストレスとなってきます。
腫瘤は基本的に何か症状がなければ医学的には放置して様子を見ることが多いでしょう。しかしながら、上述したように、何となく気になるので対策を取りたいと考える方はいらっしゃると思います。また腫瘤が生じやすい方は、一度治ったり手術しても、再発の可能性があります。
やはり腫瘤が出来る原因が何かあるはずで、その要因を取り除くことが腫瘤を小さくしたり、再発を防止したりすることにつながります。中医学(中国漢方)はその対策が出来る可能性があると考えています。

腫瘤の原因を中医学で考えると、まず「痰湿」と呼ばれる体の不要物の存在を疑います。腫瘤は体から排泄できなかったものの「残りかす」とも言えるのです。
このタイプは、食べ過ぎ飲み過ぎの他、胃腸が弱くて消化吸収が上手く出来ずに「痰湿」が生まれてしまうケースなどが考えられます。体が重だるく、睡眠に影響が出ることもあるでしょう。この場合には体をお掃除する「星火温胆湯(せいかうんたんとう)や「シベリア霊芝」などの漢方を用います。

また「お血」と呼ばれる血行不良が存在している場合も腫瘤が出来やすいと考えます。「血」は栄養を運ぶとともに、不要物も運搬し、代謝と関係しますので、その機能が落ちることで「たまり場」が生じ、腫瘤の発生につながると考えます。
「お血」タイプは、運動不足であることが多く、肩こりや痛みなどが伴いがちです。対策としては「冠元顆粒(かんげんかりゅう)「水快宝(すいかいほう)」「爽月宝(そうげつほう)」など、「血」の流れを改善する漢方薬を考えます。

腫瘤は気にし過ぎても良くありませんが、全く対策を取らないというのも心配です。漢方は腫瘤だけでなく、体全体のケアにつながりますので、ぜひ体質に合わせた漢方薬の服用をご検討ください。