自閉症と漢方.jpg自閉症は先天的な脳の障害とされ、1000人に2,3人の頻度で発生するとされます。現代医学では治ることのない病気とされ、基本的に治療法もありません。アスペルガー症候群、高機能自閉症など様々な区分けがありますが、広汎性発達障害という大きな分類にすべて含まれます。
自閉症と一口に言うことは簡単ですが、その程度や症状は人それぞれです。ハンデの認定などのために病院では診断をしなければなりませんが、現実的には自閉症とそうでない人の明確な線引きなど出来ないと私は考えています。この点を考える上で、まず、自閉症の主な症状を挙げてみましょう。
◎対人関係が上手く出来ない…人と目を合わすことが苦手だったり、自分の世界に入り込む傾向が強かったりします。
◎言葉が遅い、限られる…自分の興味のある言葉を繰り返す、他人との会話が成り立ちにくい、などの特徴もあります。
◎こだわりが強い…一つのことに強い関心を示し、他の子とは全く違う個性を発揮することもあります。
その他、睡眠の問題、パニックなどが症状としてあるとされます。
しかし、これらの症状を見ても、例えば「対人関係が苦手」な自閉症でない人もたくさんいます。また話すのが苦手な人だって多いでしょう。よって、もし子どもが自閉症と診断されても、その程度を軽くすれば、それほど目立たないハンデとなるのではないでしょうか。そしてその症状を軽減するために漢方を使っていくことも、療養の一つの方法であると私は考えます。
自閉症の症状を中医学の考えでみていくと、「気滞(きたい)」と呼ばれる気の流れの乱れ、「心神不安」と呼ばれる「心」のバランスの崩れ、そして「腎虚」という先天的な生命力の不足が、その体質として考えられると思います。
例えばパニック障害が強い子どもは、この中でも「気滞」という体質の関与が強いと考えられますので「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」などの服用が適当になると思われます。このグループとしては「大柴胡湯(だいさいことう)」というお薬に自閉症症状の改善効果があったという報告もされています。
また成長が遅い傾向が強いようであれば、「腎」を補うお薬である「六味丸(ろくみがん)」などを使っていく必要があると思われます。
しかしどのお薬がもっとも適しているのかは人それぞれ違います。漢方薬局でゆっくりと相談してもらってから決めていきましょう。
このように自閉症の症状を漢方を使って出来るだけ緩和することによって、他の子と大差なく過ごすことが出来るようになる可能性はあると考えます。
もちろん周りの支援が必要であるのが自閉症の子育てではありますが、漢方も含め、あらゆる手を使って、出来るだけ本人が快適に過ごせるように考慮してあげるのが良いのではないでしょうか。