腹痛繰り返す子供.jpg以前のコラム(胃腸が弱い子供に対するケア)でも述べた通り、子供は中医学でいう”脾”すなわち消化器系統が未発達であるとされています。特に乳児などはその傾向が顕著です。良く考えれば、今まではへその緒を通してもらっていた栄養を、生まれてからは口から取っていかなければならないのですから、最初は機能が不十分であることは当然と言えば当然ですよね。
まずは母乳やミルクでお腹を慣らしていく形になりますが、乳児のうちはついつい飲み過ぎてしまったりすることもあるのでしょう。そのような赤ちゃんは「お腹が痛い」と訴えて、夜泣きがひどかったりするそうです。理由が分からずに幼児が泣き叫ぶ場合には、お腹のケアを考えてみましょう。
また成長して幼稚園ぐらいの年齢となっても、急に「お腹が痛い」と子供が訴えるケースもあります。病院で診察を受けると「反復性臍疝痛」と病名がつくこともある状態です。原因不明とされるこの病気は、精神的な問題が絡んでいるともされます。確かにそういった面はあると思いますが、基本的には胃腸が弱い子がこういった症状を訴えることが多いでしょう。
このような小児の繰り返す腹痛には漢方薬が良く効きます。未発達な胃腸を助ける漢方薬を基本として、ストレスが多そうな子供には気持ちをリラックスさせるような作用を持つ穏やかな処方と合わせます。
良く使用される漢方薬としては「参苓白朮散(じんれいびゃくじゅつさん)」や「黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)」「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」があり、これらは”脾”を丈夫にし、多少のストレスや消化不良に負けない体作りに役立ちます。さらにはリラックスさせるための漢方として「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」などを検討することもあるでしょう。
腹痛は子供が訴えるもっとも多い病気とされます。もちろん大きい病気が隠れているケースもまれにあるので、まずは病院の診断が必要ですが、対処が難しい場合などには漢方を考えてみると良いと思います。その場合は安易に服用薬を決めずに、漢方に詳しい専門家にしっかりと体質判断を仰いだうえでお薬を選択しましょう。