子供の頭痛と漢方.jpg子供が「頭が痛い」と訴えることは意外と多いものです。腹痛と同じように親からはその痛みが分からないので、気を引かせるために言っているのではないか、などと考えてしまいがちです。しかし特に小学校入学前であれば、悪知恵で仮病を使う子はほとんどいないように思います。「痛い」と子供が訴えたら、程度の差はあれ、痛いのは間違いないでしょう。そのような時は手を止めて話を聞いてあげることがまず重要と感じます。
大人であっても子供であっても頭痛の原因に大きな違いはありません。ひどい頭痛を経験すると「脳の神経や血管がおかしいのではないか」と言い知れぬ不安に襲われます。子供も同じように頭痛を繰り返すと不安感が増していくことを心にとめて接してあげるようにしましょう。
さて子供が泣いたりしゃがみこんでしまうような頭痛が起きたら、まず病院です。また発熱や嘔吐を伴う場合にも必ず診察を受けましょう。しかし軽度の頭痛を繰り返すような場合には血管などには問題ない場合がほとんどでしょう。鎮痛剤で対処してばかりいては根本的な解決にならないばかりか、子供の成長にとって大切な胃腸を傷めてしまう恐れもあります。そのような時は漢方薬での対処を考えてみましょう。
漢方で頭痛の原因を考える時、その判断は痛みの部位、頻度などはもちろんのこと、頭痛以外の症状も合わせ総合的に考えていきます。頭痛は様々な要因によって起こると考えられているため、その見極めが非常に重要になるのです。例えばよく見られるケースとしては以下のような例があります。
●疲労、睡眠不足から起こる頭痛
最近の子供のスケジュールはハードです。朝は早くから起こされて、夜も習い事があったりテレビを見たりで遅くまで起きている子もいるようです。知らず知らずに体に疲労がたまり、漢方でいう「気」が足りなくなって頭痛が起こってしまいます。このような時には生活を改めることが一番ですが、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」などの漢方薬を併用していくと良いでしょう。なお、もともと体質が弱く、無理をしていないのにこのタイプの頭痛が起こるケースもあります。
●鼻炎や中耳炎との関連で起こる頭痛
慢性的な鼻炎や中耳炎などと関連して、余分な水分等の「つまり」が原因で起こる頭痛もあります。それらの病気のケアを考えても体内の余分な水分を取り除くために「五行草(ごぎょうそう)」や「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」などの漢方薬の服用を検討しても良いでしょう。
●ストレスと関係した頭痛
子供にもストレスはあります。小さいながら親や友人とどう接していくか悩んでいるものです。まじめで真剣に考える傾向が強い子ほど、頭痛につながる恐れがあります。もちろんそのような時はストレスから遠ざけてあげることが一番ですが、「抑肝散(よくかんさん)」などの漢方薬で体のケアをしてみることも一考でしょう。
この他にも暑がり寒がりの有無、胃腸関係なども考えに入れてお薬を検討していきます。ぜひもっとも合ったお薬を専門家と相談して決め、早く子供の痛みを取ってあげて下さいね。