夢遊病漢方.jpg夢遊病は、夜中突然に目を覚ましたように家の中を動き回り、周りの人の呼びかけにも明確な回答をせず、しばらく経つと布団でまた眠りに入るという症状です。朝起きた時は、夜中の行動について覚えていません。しっかりしゃべったり、ドアを開けたりと、目が覚めたかのような行動をとるのですが、表情は日中とは異なるため、「どうしてしまったのだろう」と周りの人は急な変化にとまどうことも多いようです。大人でも夢遊病はありますが、子供に多いとされます。
医学的には睡眠時遊行症とも呼ばれますが、医師がその症状を見ることは困難であり、数値の異常などがはっきりと出ないこと、ケガをしたりという不都合が出ることは多くないこと、そして年齢を重ねると症状が減ってくることが多いなどの理由で、積極的に治療するケースはほとんどないようです。
しかし私はこの症状は認知症の患者さんの徘徊と似ているように感じます。もちろん次第に収まることが多いため、過度に心配する必要はありません。しかし、夢遊病も何かの原因があって起こっているはずです。総合的な観点から、漢方的な夢遊病対策を考えても良いと思います。
漢方的には睡眠と「心」の関係が深いため、「心」が安定しているかどうかを判断した方がよさそうです。日中からイライラしやすく、暑がりである場合には「心」に「熱」がこもり、これが夢遊病のような症状と関係しているケースが考えられます。
また、食べ過ぎている子供や、胃腸が弱くいために体の中の不要物である「痰湿」がたまっている場合には、「心」の働きを邪魔し、夢遊病につながるということも考えられます。
このようなケースでは、体質判断にも依りますが、「温胆湯(うんたんとう)」や「甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)」、「天王補心丹(てんのうほしんたん)」「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」などの漢方薬が適することが多いでしょう。
その他、漢方的には「肝」や「腎」のバランスの崩れが影響を与えて、夢遊病となっていることもあると考えられます。その判断は漢方的な診立てが重要となってきます。そのバランスの崩れを治すことが夢遊病だけでなく、体のまっすぐな成長を助けることになることでしょう。
子供の夢遊病を深刻に考える必要はありませんが、気になる場合には漢方的な対策をどうぞご検討ください。