腎臓で作られた尿は、腎盂に集められ、尿細管を通り膀胱に送られて排泄されます。よって体にとって外界に近い方から、膀胱、次に尿細管、そして腎盂、腎臓となります。外部環境に近いということは、細菌に侵されやすいということ。よって炎症性疾患は膀胱炎が起きやすく、腎盂炎、腎炎の順に発症しにくいと考えられます。
ただ子供は腎盂腎炎になりやすいとされ、大人もそうですが女性が多く発症します。膀胱炎は発熱しませんが、腎盂腎炎は組織に炎症が起こり、高熱が出るという特徴があります。風邪症状がないのに高熱が出て、排尿時に痛がっているようであれば腎盂腎炎の可能性が高いでしょう。
細菌が繁殖して起こす病気ですから、膀胱炎と同様に抗生物質が効きます。しかし繰り返すことも多い病気であるため、発熱のたびに子供はもちろん、お父さんお母さんも心配な思いをしてしまうことになります。また、抗生物質が効きにくいケースもあります。
免疫も関係している病気のため、予防がなかなか難しい疾患です。多めの水分摂取を心がけるとともに、漢方薬での対処を考えてみてもよいでしょう。
まず炎症が起きている時の対処法ですが、膀胱炎と似た考え方を取り、炎症を鎮めるための「猪苓湯(ちょれいとう)」や「瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)」が第一の候補となります。抗菌作用を持つとされる「五行草(ごぎょうそう)」も良いでしょう。
以上のような炎症対策を前提としつつ、慢性的に経過している場合は、免疫力の強化も考えていくべきでしょう。「腎」は漢方では生命力と関係した臓であり、その未熟さを持つ子供に腎盂腎炎が起きやすいとも捉えることが出来ます。「腎」を強くするための漢方薬としては「六味丸(ろくみがん)」をベースにしたお薬が考えられます。また総合的な免疫力アップのために「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」などを服用した方がよい場合もあるでしょう。
とはいえ、やはり体質判断が重要になります。子供の体質判断はなかなか難しいとはいえ、病名だけで決めつけず、漢方薬局にて詳しい相談をしてみましょう。