ペットの鼻炎.jpg犬や猫にとって鼻は非常に大事な器官です。別のコラムで書いたように副鼻腔炎で詰まりが生じてしまうと臭いが感じにくくなり、食欲などに影響を与え体力を奪います。また鼻水やくしゃみが続く、いわゆる鼻炎でも同じように食欲が低下する場合もあります。
鼻水やくしゃみが続く場合には、アレルギーが原因のケースと、細菌やウイルスが原因のケースに大別できます。犬は鼻炎が問題となるケースはあまり多くないのですが、猫には鼻炎が頻繁に起こります。
猫の鼻炎の場合はウイルス疾患が原因となっていることが多いとされます。ヘルペスやカリシウイルスなどに依るものですが、これらはワクチンである程度予防できます。しかしアレルギー体質が引き金となって鼻炎を起こしている場合には、予防は簡単ではありません。原因物質の特定が難しいことに加え、その排除も現実的に考えて困難であることが多いものです。
この場合には漢方的な対処が有用となります。多くの場合は人間の鼻炎の対処と大きな違いはありませんが、猫の鼻炎は冷え(寒さ)が関係しているケースが多いので、その点を考慮して服用するお薬を決定していきます。すなわち、温めるお薬を基本として処方を考えます。
具体的には「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」や「葛根湯加せんきゅう辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)」などのお薬が適用となります。ただしこれらのお薬は「乾燥」につながる性質を持つという特徴があります。場合によっては潤いを与えるお薬と併用しなければならないでしょう。
鼻水は体調変化の前触れとも言えます。軽視していると副鼻腔炎などとなり慢性化することも考えられます。出来る限りの対処をして、猫が良い環境で生活できるように漢方で体調を整えてあげましょう。