生活養生と漢方3.jpg「身土不二(しんどふじ)」という言葉をご存知でしょうか?身体と食物(土)は二つに分けて考えることは出来ない、という意味を持ちます。まさにその通り、体は食べた物から作られたものであり、今の体の状態はその人の食事の歴史を体現しています。中国で生まれたこの言葉は、漢方の理論とも相通ずる、そして深い意味を持つ素晴らしい言葉だと思います。
人間の体は長くても1年ほどで全く新しい物質に入れ替わるとされています。分子レベルで考えれば、1年前の自分の体は、今はもう存在せず朽ちて排泄されているのです。もし自分の体の分子全部に印を付けることが出来たら、その印は日を追うごとに少なくなっていき、約1年後には全く無くなります。それに代わってあなたの体を新しく構成する分子は、あなたが食事で摂った成分に他なりません。まさに「身土不二」ですね。
よって食事に気をつけて生活すれば、1年もあれば体質が変わる可能性があります。病気の体であっても、1年経てば入れ替わり新しい体がキレイに出来上がるはずです。しかし、そう事は単純ではなく、人間の体は良い分子でも悪い分子でも出来るだけ今の状態を維持しようとしますから、それを変えるためには食べ物以外の努力も必要となってきます。
さて、この「身土不二」の「土」を、自分が生きている「土地」と理解して、いわゆる「地産地消」と同様の意味で考えることも多いようです。自分の生まれた土地を大事にして、その土地が育んだ食べ物を消費しなさい、という意味です。これももっともなことであり、地元の食材を食べて生きることは、現代科学で解明できない、健康への秘訣が隠されているように思います。世界中から運ばれてきた食材よりも、昔から地元で栽培されてきた食材の方が、日本人の自分たちの体に合っているということは当たり前のように感じます。
とにかく食べ物は”健康生活”を目指す上で極めて重要なことは間違いありません。「身土不二」。覚えておいて下さいね。