風邪.jpg強烈な風は時として大きな災害をもたらします。台風や竜巻の例を挙げるまでもなく、段々と忍び寄り、比較的短時間で被害をもたらし、そして足早に去っていきます。
自然と人間は一体であると考える中医学では、この風の特性を理解して、病気の原因にもなり得ると捉えます。風が人体に与える影響など、一般的な科学で説明することは難しい事象と思いますが、「このような考え方もある」ということを覚えておいて頂くと、何かの場面で役に立つのではないでしょうか。
風は「六気(ろっき)」と呼ばれる自然現象のうちの一つです。そして、この「風」が人体に影響を及ぼす状態になると「風邪(ふうじゃ)」と呼ばれる「邪気(じゃき)」に変わります。ちなみに、この「風邪」は五行説では「木」のグループに属し、季節でいえば「春」にもっとも影響が表れる「邪気」とされます。
さて、この「風邪」には以下のような特徴があります。
変化が早い
「風邪」の最大の特徴です。自然界の風と同じように、変化が激しく、動きがあり、上昇しやすいとされます。これが人体に入ると、痒みや痛みがいろいろな場所に移動したり、治ったと思ったらまた発症したり、という症状が出ます。ただし、体内の奥深くに入ることはなく、皮膚などの表面上の部位にとどまるケースが大半で、治りも比較的早いとされます。
他の邪気と共に移動し、先行する
比較的短期間しか影響を与えない「風邪」を侮ってはいけない理由は、他の邪気を連れてくるという特徴があるためです。「風邪」の侵入がきっかけとなって、重病に陥ることも良くある現象なのです。「カゼは万病のもと」と言いますが、「風邪(ふうじゃ)は万病のもと」とも言えるように思います。
以上のような特徴を有する「風邪」ですが、中医学では具体的に以下のような病気は、「風邪」が主な原因であると考えています。
カゼ…特にカゼの初期は必ず「風邪」の影響を考えます。カゼは症状が日々変化しますが、これはまさに「風邪」の特徴を良く表しています。
リウマチ…初期のころですが、痛みが「風邪」の影響であちこちに移動します。
じんましん…急に出て、収まるのも早いのがじんましんです。やはりこれも「風邪」の影響と考えます。
めまい…ふらふらと周りが動いて見えるめまいも「風邪」が影響している考えられる症状の一つです。
もちろんこの他にもたくさんの「風邪」が関係している病気があります。普段、風に当たる機会の多い方は、上記のような病気になりやすいので注意が必要でしょう。また、このような疾患を持っている方は春は悪化しやすい季節となりますので、気をつけて過ごす必要があるとされます。