五行.jpg今回は五行の方角・方位の話です。漢方はやや非科学的なイメージがある上に、方位の話となれば、占いと同じようなレベルになってしまう気がします。また、中医学の勉強をしていても、養生について方位の話はほとんど出てきません。とはいえ、五行学説の中でしっかりと規定されているという事実はありますので、それほど細部にこだわらずに豆知識として知っておいても良いかもしれません。
さて方位の話をする前に五行説の概念をある程度理解しておく必要があります。五行説は様々な事象を木火土金水の5つのグループに分けて考えると言う哲学です。それぞれのグループに特性があり、相関関係が存在します。
中医学で非常に重要な五臓(肝心脾肺腎)もこの木火土金水に分けられますし、今回のテーマである東西南北の方角も同様です。具体的には以下のようにグループ分けされています。
◎東…木グループ(五臓の肝)
◎西…金グループ(五臓の肺)
◎南…火グループ(五臓の心)
◎北…水グループ(五臓の腎)
しかしここで疑問が生じます。方角は4つにしか分けられないため、残り一つ、土グループに相当する方角がありません。ここが面白いところで実は「中心」という方位があるのです。
◎中心…土グループ(五臓の脾)
この考えは風水などでもおなじみなのでご存じの方も多いかもしれません。中国では建物を設計する際などには重要視され、門などの位置も生活上多少不便になっても、五行の考えを取り入れて作るそうです。
さて養生を考える上で重要なポイントとしては、
★脾は(体の)中心
という点です。中医学で云う”脾”は消化器系統を指し、単純に位置関係が体の中心にあるために、このように定義されていると思われます。しかし健康維持のために非常に重要な機能を担っているのが”脾”。すなわち食べ物を消化する胃腸です。私は、ここが人間の”カラダの機能の中心”であることも示しているような気がします。
食べ物を消化吸収して、細胞を作りエネルギーに変えていく”脾”が非常に大切であることを忘れないようにしましょう。
ちなみに「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」など、処方名に「中」と付く場合がありますが、この「中」=「脾」という意味合いです。よって「補中益気湯」は「脾(胃腸)を補い、気を益す」作用があるお薬となります。