キノコと漢方.jpg秋はキノコのシーズンです。特にマツタケは秋を代表する味覚の一つですよね。その香りをかぐだけで、幸せな気分になる、という方も多いのではないでしょうか。
キノコはご存じの通り、菌類に属する植物です。ガンに効くとか、免疫力アップに良いなど、いろいろと言われていますが、科学的に明確に証明されたデータはありません。しかし栄養学的には多糖類(ベータグルカンなど)やポリペプチドと言った、免疫に関係するとされる成分を含有していることは分かっています。また各種ビタミン類やミネラルなどを含有している種類も多いようです。納豆やヨーグルト、味噌なども同様ですが、菌が含まれる食材は体に良い影響があることは間違ってはいないように感じます。
中医学(中国漢方)の中でもキノコと同様の菌類が起源の生薬がたくさんあります。その中でもっとも有名で汎用されている生薬が「茯苓(ぶくりょう)」でしょう。また「猪苓(ちょれい)」という生薬もチョレイマイタケと呼ばれるキノコを用いています。
これら菌類の生薬の大体に共通する効能が「利水」作用です。これは体の中の余分な水分を取り去る作用の意味であり、キノコ関係の性質の一つの特徴となっている気がします。
また中医学の食養生で良く出てくるキノコの一つに「キクラゲ」があります。黒キクラゲと白キクラゲに分けて考え、黒い方は「腎」に良いとし、白い方は「肺」に良いとされます。寒熱のどちらにも偏りが少ない食材ですので、大量には摂りにくいですが意識して食事に組み入れても良いですね。
そして普段私たちがもっとも食べる機会の多い「シイタケ」は胃腸に良いとされます。こちらも平性と言って、熱の偏りが無い食材ですが、大量に食べ過ぎるとのぼせたりすることがあるようです。
なお、がんに良いと言われているキノコの種類は非常に多くあります。一時期非常に有名になったアガリクスやメシマコブ、霊芝、シベリア霊芝(サルノコシカケ科、チャガ)、そして冬虫夏草もキノコの一種とされます。
どれがもっとも優れているのかを明確にすることは出来ませんので、試したい場合には中医学の理論に沿って、しっかりとした”理由”をもとに選択した方が良いと思います。
すべてに共通する話ですが、キノコが体に良いからと言って、キノコばかり食べていても悪影響が出ると私は思います。何事もバランスが大事であり、”キノコづくし”ではなく、一日一度少量ずつ食べると言う程度が最も良いのではないでしょうか。胃腸から吸収されやすい食材とは言えないと思いますので、食べ過ぎには十分注意しながら秋の味覚を楽しみましょう。