酢や酸と漢方.jpg皆さん酸っぱいものはお好きでしょうか。大好きという方は多くないかもしれませんが、特に問題なく食べられる方と、全く受け付けない方に分かれるかもしれません。私も昔は酸っぱいものが苦手でしたが、最近はまあまあ無理せずに食べることが出来るようになってきました。
春は五行説の五味の区分で言えば「酸」の季節です。「酸」とは、そのままズバリ酸っぱい味のこと。要するに春の養生の一つは「酸味」の食材を摂ることとされているのです。
さて酸味が苦手という方ですが、普段からストレスが少ないのかもしれません。中医学で「酸」は五行説の「肝」と関係があり、この「肝」の状態はストレスと密接な相関があります。言うなればストレスがかかり、「肝」の状態が悪い方は酸味の食材を欲するはずなのです。子供が酸っぱいものが苦手な理由は、この辺にあるのかもしれませんね。
その他、中医学では酸味の効用として「収斂作用」が挙げられます。「収斂」とは引き締めること。よって汗が出やすい方は汗腺を収斂させるために、レモンなど酸味のある食材が良い場合があります。また下痢症状がある方も同様で、梅干しはお薬として使うこともあります。その他咳が止まらない時なども酸味を上手く利用すると良いでしょう。
また酸味の代表格である「酢」ですが、その効能は様々な場所で発表されている通りです。以下に主な「酢」の効能とされている事例を挙げてみます。
●高血圧に良い
お酢を毎日大さじ1杯ずつ取り続けると、血圧が下がると言う報告があります。
●体をアルカリ性にする
酸性の体質は不健康状態になりやすいとされます。一般的にはお肉類を摂り過ぎると酸性になるとされます。お酢(食酢)はいわゆるアルカリ性食品であるため、活用してみましょう。ちなみに唐揚げやお肉にレモンを添えたり、ポン酢で食べることはお肉を軟らかくする利点と共に体への作用も穏やかにし、酸性への傾きを抑えてくれると思われます。
●疲労回復に役立つ
実験上では、糖分と酢を同時に摂取すると、回復が促進されると言われます。
ただし、どなたでも上記の効果があると考えない方が良いと思います。体質は千差万別。悪い影響が出ることは無いにしても、あまり期待し過ぎず、知識として持っておく程度で良いのではないでしょうか。
また、最近は黒酢やもろみ酢などが健康やダイエットに良いと流行しているようですね。確かに黒酢は中医学的に考えても良い作用があると予想されますが、取り過ぎはかえって良くないのではと感じます。また品質もピンキリではないでしょうか。無理なく飲めるようであればいいのですが、イヤイヤ飲むようでは考えものです。もちろん楽しく飲めていて身体も調子が良いようであれば継続をお勧めします。
とはいえ基本は和食で使われる、梅干しや酢のものを積極的に摂るようにすることです。甘いものばかり食べずに、酸味のものを程よく取り入れることが健康の秘訣であることは間違いないですね。