さかなと漢方.jpg日本人の魚の消費量が減ってきていると言われて久しいですね。確かに魚料理はバリエーションが多く無いこと、お肉に比べると値段が高いこと、骨があって食べる時に面倒であったりと、現代の日本人のライフスタイルに合わない面があるのかもしれません。
しかし日本は島国であり、またキレイな川や湖があって、昔から魚をたくさん食べてきた民族であることは間違いないと思います。近年は前述の通りで生活が変化してきていますが、日本人の体質がすぐに変わる訳ではなく、魚を必要としている体であることを覚えておくべきでしょう。
一方で中国では魚は貴重品です。中国に旅行に行った事がある方は経験があるかもしれませんが、豪勢な食事の際には魚が丸ごと一匹出てくることが非常に多いです(ただ美味しい魚に慣れている日本人の口に合わないことが多いかも知れません)。
よって中国をルーツとする漢方の養生で魚のことが出てくる機会はあまり多くないのが現状です。しかしながら、人間にとっては、生物学的により離れた生物を口にすべきという原則があります。よって牛や豚より鳥、鳥よりも魚の方が食するのに好ましいと考えます。そういう意味でもお肉より魚をどんどんと食べていくべきでしょう。
魚の体への効能については、例えばマグロやカツオなどの赤身の魚は「血」を補う作用があるとされます。しかしトロのように脂肪分が多いとお腹に負担がかかります。
また、イワシやサンマなどの青魚に関して言えば、「お血」改善作用、すなわち血行を良くする作用があるとされます。その他科学的に見てもDHAなど、体に有用な成分が含有されているとされますから、出来れば1日1回はお魚を食べることが出来るようになるといいですね。
ただし注意しなければならないのが、お刺身やお寿司。これらは日本食の代表であり、好きな方が多いのですが、胃腸系が弱い日本人には厄介な料理であることを知っておかなければなりません。中国では魚は焼くか蒸して火を通すことが当たり前です。日本とは環境が違うとはいえ、胃腸の強い中国人でさえ対策を取っているのに、胃腸が弱い日本人が生の魚を食べていては体を傷めて当然と言えるでしょう。
生の魚は「湿」を生みやすく、体を冷やします。よって浮腫みやすく、お腹がもたれやすくて軟便傾向の方や、冷え症の方は特に冬の生魚は注意をするといいと思います。
とは言え、魚を食することで良い面もたくさんあるのですから、食べ過ぎに気をつけながら体調を見計らって食べる分には問題ないと思います。私の実家では、夕食のメニューは魚料理と肉料理が毎日交互に出てきました。こういった形がもっともバランス的に良く、健康な体作りにつながるのではないかと思います。
そして旬の魚を出来る限り選択して健康維持に役立ててみて下さいね。