どくだみ.jpgどくだみをご存じでしょうか。名前ぐらいは耳にした事がある方も多いのではないかと思います。ちょっと毒々しい名前ですが、有名な薬草であり、ごく一般的に草むらに生えていることもある植物です。絵だとなかなか分かりずらいですが、実物を見ると「見たことある」と感じるかもしれません。昔は自宅の庭に生えていたことも多いようで、「おばあちゃんが煎じて飲ましてくれた」という話もよく耳にします。
さて、そのどくだみですが、もちろん漢方薬の一つです。しかし、中医学すなわち中国伝統医学ではあまり使われることのない生薬なのです。
魚腥星という名称で呼ばれ、清熱解毒薬に分類されますが、同じグループの生薬の中では使用頻度がかなり低い部類に属します。なぜかといえば、作用が比較的穏やかであることに尽きるように感じます。日本での知名度ははるかに低いですが金銀花や連翹といった清熱解毒薬の方がはるかに良く使用されているのが現実です。
とはいえ、日本の民間治療薬として長年の間親しまれてきたどくだみですから、日本人の体質に良く合った生薬ではないかと個人的には感じています。また、前述したように手に入りやすく、現在でも安価である点も大きな魅力です。
ちなみに、どくだみは別名十薬(じゅうやく)とも呼ばれます。十種の効果があるとも言われているのですが、これは俗説のようで中国の名称の当て字であるという解釈が主流のようです。
現在ではどくだみ茶が有名で、市販されているお茶(爽健美茶など)にも入っていることが多いですよね。単独では、便秘や高血圧、皮膚病に良いとされますが、薬としての効果というよりも、健康茶として飲用すると良いのではないでしょうか。ちなみに民間では下記のような使用方法をとることが多いようです。
◆腫れもの…新鮮な葉を火にあぶって柔らかくし、患部にあてて膿を吸い出す。
◆蓄膿症…葉をもんで汁を出して、鼻に入れる
◆湿疹、かぶれ…葉の汁を患部に湿布するなどする
なお、煎じると解毒作用はあまり期待できないのですが、利水(体内の余分な水を取る作用)や、清熱の効果はある程度あると考えます。よって、身体に”熱”がこもっているために起こっている便秘や、高血圧には確かに悪くはないのでしょう。
ただし、どくだみだけで病気を治すことは少し難しい気がします。また、基本的には冷やす生薬ですから、冷え症の方が継続して飲用するケースには疑問符が付きます。ただ何かの時にこのような身近にある植物の知識は役立つかもしれません。豆知識として覚えておいてはいかがでしょうか。