うつと漢方養生.jpg最近増えているとされる「うつ病」。しかし中医学では二千年以上昔からその存在は知られ、専門的にまとめた書物もあります。時代に依って増えたり減ったりする部分はあるのかもしれませんが、現代だけに特有の病気ではありません。
とはいえ、便利な世の中になった半面、生活が不規則となって体内時計は乱れ、人間関係が希薄で、ストレスが異常に多いとされる現代は、「うつ病」を生みやすい環境であることは間違いないでしょう。
ちなみに「うつ病」は医学的にも立派な病名であり、原因は神経伝達物質の分泌異常とされます。しかし、今回は「生活養生と漢方」のコーナーのコラムなので、病気改善の詳しい漢方の話ではなく、養生を中心に記載していきたいと思います。
まず一つ理解してもらいたいのは、「うつ病」の原因は心だけでなく、身体の中にあるということです。「自分は心が弱いからうつ病になってしまうんだ」と自分を責めることがありがちですが、そうではなく風邪と同じように”身体が悪い”ことが原因の病気であることをご自身も周りの方も理解しなければなりません。
逆に言えば、身体が治れば心も治ります。よって身体をケアする養生が大事となってくるのです。
では具体的に「うつ病対策」としてどのような養生が必要か、下記に挙げてみましょう。
★流れを改善する食材(酢、ミント、柑橘類、貝類など)又は、身体をスッキリさせる食材を摂る(シソ、もやし、きゅうり、ウーロン茶など)。
タイプに依って適する食材は異なります。これらばかりを摂るのではなくバランスよく取り入れましょう。
★生活リズムを守る。
早寝早起きがもっとも大切です。寝れない方は、漢方薬を使うか、どうしても寝れない場合には睡眠剤を使った方がいいこともあります。
★お腹を労わる
食事から生まれるエネルギー(気)が生命を動かす源となります。冷たいものを飲んだり、食べたり、脂の多い食事や香辛料もお腹への刺激になりますので、結果的に働きを妨げることになるのです。
そして何より良くないのが間食。特に空腹時に食べるお菓子はお腹に大きな負担がかかります。また暴飲暴食もご法度です。
★運動をする、外に出る
流れを改善するためには動くことがもっとも手っ取り早い解決方法です。しかしながら疲れきっている方が運動をすると症状が増す可能性がありますので要注意です。外に出てのストレッチや体操にとどめておきましょう。
★五感をバランスよく使う
空を仰ぎ、美味しい空気を吸って、心地よい音楽を聴き、草木の香りを楽しみながら自然と触れ合う。生物の基本ですね。忘れがちではありますが、大切なことです。テレビを見ながらタバコを吸い、車の音を聞いて香水をつけるような生活では身体もおかしくなってしまいます。
中医学では「およそ病は鬱にて起こること多し」と言われ、多くの病気の始まりはうつとされます。この場合の鬱は体内の巡りの低下を表し、「うつ病」とイコールではありませんが、うつが発病の一つのきっかけとなるケースは多いように感じます。
うつ病と診断されていなくとも、気分が沈みがちなことが多いという方は、ぜひ上記の養生を参考にして生活をしてみて下さいね。