かぜ予防 漢方.jpgかぜの季節といえば冬ですね。なぜ冬にかぜが流行するのかといえば、医学的にはかぜを引き起こすウイルスは乾燥やある程度の低温を好むためという考え方になります。とはいえ、はっきりとは理由が分かってはいないのですよね。私は以前にウイルスを実験室で扱っていましたが、ウイルスの好む環境は37度に近い気温と適度な湿度。ウイルスの自然な生息条件とは異なるとはいえ、矛盾していますよね。
もう一つの理由として言われるのが、気温が下がると人々の免疫力が低下するから。こちらの方がまだ納得できると感じますが、そうなると、外気温が一年中低い地方の人々はずっとかぜをひきやすく、逆に常夏の国の人はほとんどかぜを引かないと思いますが、そういう話を聞いたことがありません。
私の個人的な考えでは、冬は風が強い日が多いという点がポイントと思うのです。かぜは「風邪」と書くとおり、風の邪気がもたらします。これに「寒邪」や「燥邪」といった他の邪気も絡んで症状を引き起こすのですが、主役は「風邪(ふうじゃ)」です。
よって「風邪」から身を守ることが出来れば、かぜは引かないということになります。
しかし「風邪」の特徴として、すきま風にたとえられるように、狭いところからも容易に侵入するとされます。体を守る「正気」、いわゆるバリア力が強ければすきま風も通さないのですが、少し「正気」が緩んだり、「風邪」の威力が強力であると「風邪」は体内に入ってきてしまうのです。
前置きが長くなりましたが、かぜを予防するために大切なことは、「風邪」対策をしっかりと行うこと、そして「正気」を十分な状態に保つことの二点に集約されます。
この二つさえ出来れば、風邪を引くことも少なくなるはずです。ぜひ覚えておきましょう。
では具体的なかぜ予防の養生を挙げてみます。
★強い風にあたらないように気をつける
仕事や学校などでどうしても防ぐことが出来ないケースもあるかもしれませんが、風が非常に強い日には外出を控えるということも立派なかぜの予防法だと思います。また、自転車やバイクなども同様です。
どうしても風を避けられない、という場合には風を通しにくい服装が必須です。
★「風門」を守る
「風邪」の侵入は、「風門」というツボを通って入ってくるとされます。「風門」のツボは首の下辺りの背中にあるのですが、正確に分からなくともこの部分を温めておくことが肝心です。カゼの初期には背中がゾクゾクしますよね。まさに「風邪」が入ってきている証拠なのです。
ちなみに背中にはかぜ予防に良いとされるツボが多く、背中を守るということが「風邪」に対抗する一つの術となります。
★こまめに水分を取る
かぜ予防の一つにうがいが言われますが、私はウイルスを取り除く効果はほとんどないかな、と思っています。それよりもうがいによってノドを潤すことが出来る点がメリットです。特に鼻うがいなどはいいと思います。
体に水分が足りないと「燥邪」の威力が増します。うがいでなくとも水分をこまめに取って、常に粘膜を潤しておきましょう。
★規則正しい生活を心掛ける
これは当たり前なので、詳しくは書きませんが、睡眠不足、食べ過ぎ飲みすぎ、ストレス過多などは「正気」を低下させますので、もちろんかぜを引きやすくなってしまいます。
★前向きに考える
気が張っているときにはかぜを引きませんよね。これも「正気」の充実度に関係していると思います。「かぜを引きそうだなあ」と思っていると本当に引いてしまいますので、「かぜなんて引くはずない!」と前向きに考えていきましょう。
★漢方薬を服用する!
「風邪」対策の生薬として「防風」という、その名もズバリの薬があるぐらいですから、漢方薬が充実していることは間違いありません。「衛益顆粒」や「板藍根」といった代表的なかぜの予防薬とともに、かぜの初期に効く「天津感冒片」や「葛根湯」といったお薬を駆使すれば、まず悪化はしません。どうしても体質的にかぜを引きやすいという方は漢方薬を飲んでみましょう。
かぜを引くと健康のありがたさが分かりますよね。楽しく快適に過ごすためにもかぜ対策の養生を頭に入れて過ごしていきましょう。