ごぼう茶.jpgいわゆる健康食品はすっかり定着し、普通に生活に取り入れている方も多いのではないでしょうか。健康食品は法律上で「食品」であるために、「~に効きます」と具体的に述べることは出来ません。確かに誇張した宣伝に惑わされて必ず効果があると考えてしまう可能性があるため、規制は必要なのかもしれませんが、芸能人が「良かったです」と言ったり、テレビで宣伝していたりすると、結局信じてしまいますよね。
そもそも健康食品と医薬品の区分けの根拠があいまいな部分もあり、制度自体が未熟な部分は否めないように思います。その宣伝を信じる信じないは個人的な判断として、規制は緩和すべきと感じますが、どうでしょうか。もちろん消費者が勉強し、賢くならないといけませんけどね。
ちなみに最近流行のトクホは、効能を謳うことが出来る健康食品で売上を伸ばしているそうです。結局は資料がある程度揃えば厚生労働省も認めざるを得ないのでしょうが、その資料の信ぴょう性は疑問であったりもしますし、結局は本当に消費者のためになっているかどうかですね。ほとんどが商売ありきであることは忘れてはならないと思います。
さて、話がずれてしまいましたが、健康茶とされる商品の中には古くから漢方薬として使われてきたものもたくさんあります。今回はそのいくつかについての考察を私なりにしてみたいと思います。
★ごぼう茶
最近人気が出てきているようですね。ごぼうは確かに健康によさそうなイメージもあります。私はよく知りませんが、美容やダイエットに良いと紹介されているのでしょうか?
さて漢方の世界では、牛蒡子と云って、ごぼうの種子を生薬に用います。疎散風熱の作用、すなわち風邪の熱を発散させる力があるとされ、銀翹散という有名なカゼの処方にも含まれています。よってカゼの時の熱や、のどの痛みなどにも良いのです。また皮膚炎などにも使えないことはありません。
ごぼうの根にも弱いながら似た作用があると思われるので、冷え症の方は注意が必要に感じます。またごぼうは便秘に良いとされるとおりですから、逆に下痢気味の方は控えた方が良いでしょう。
★なた豆茶
こちらはかなり前から知名度が高いですよね。蓄膿など鼻の通りをよくする、口臭対策、ダイエットなどを目的で用いられることが多いようです。これだけ長い間続いている商品ですから、ある程度効果はあるのでしょうし、飲みやすいという利点もあるのかもしれません。。
なた豆は刀豆と書き、「白刀豆」として生薬の本にも載っていますが、少なくとも漢方のプロがよく使う生薬ではありません。本にはお腹を中心に温めて、下痢・腹痛や吐き気などに使用されると記載されています。中医学で使用されることはまずありませんので、漢方的な立場からは疑問符ですが、豆類は総じて体に悪くなく、服用して調子が良ければ続けてもいいのではないでしょうか。
★生姜茶
こちらも数年前からよく聞くようになりました。身体を温めるために冷え症対策に使われているのでしょう。
生姜については何度か触れたことがありますが、中医学でもよく使われる生薬の一つです。身体を温めて、特にカゼの寒気対策に使用されます。冷えて吐き気がする時に良いとされます。しかし、使うとしても少量の場合が多く、毎日飲むイメージではありません。
なお、「乾姜(かんきょう)」という生姜を乾燥させた生薬は、慢性的な冷えに用います。現在の生姜茶の使い方はこちらに近いと思いますので、商品がどのような生姜を用いているかが大事な点かもしれません。
漢方薬については何千年も前からのしっかりとした理論がありますので安心ですが、現在の多くの健康食品は「天然物だから安心」という背景のもと、商売要素で販売されている部分が強い感じがします。あまり惑わされることなく、「自身が飲んで体調が良い」という点を一番大事な指標としてみて下さいね。