健康長寿の漢方養生.jpg日本は長寿の国と言われていますが、健康寿命が大切という考え方が最近になって広まりつつあります。健康寿命とは、介護を受けずに自立した生活が出来る生存期間のこと。日本人は平成22年の調査で72歳とされます。
ちなみに静岡県の健康寿命は日本一で、73.53歳とのことです。静岡県の分析では、お茶をたくさん飲んで、食生活が豊かで、温暖な点が良いのでは、となっています。やはり冷えは体にこたえますから、暖かいというのはありがたいことですね。
さて中医学の歴史においては、夢の不老長寿の薬を求めて、様々な研究がされてきました。もちろん死に抗うことは出来ないのですが、どのような漢方薬を使えば長生きが出来るか、どのような生活をすれば長寿につながるかという理論は確立されていると言っても良いと思います。
健康長寿のためのポイントは「腎」を守る、ということにつきます。中医学で「腎」は臓腑の本と呼ばれ、生命の源が「腎」にあるとされます。年齢と共にどうしても弱っていく「腎」ですが、その消耗を最小限に食い止めることが元気で長生きにつながっていくのです。
それでは具体的にどのような養生がよいとされるか、みていきましょう。
★「腎」を補う食べ物を多く摂る
「腎」に対応する色は「黒」であり、一般的に黒い食べ物(海藻類、貝類、キクラゲ、黒豆など)は長寿につながると考えます。また他にも「腎」を補うとされる食べ物はたくさんあります。エビ、ゴマ、クルミ、ヤマイモなどと共に、滋養強壮で有名なスッポンも「腎」に良いとされます。
★過度の性生活を避ける
最近はセックスレスという話も出るぐらいなので、それほど心配はないかもしれませんが、男女とも自慰を含めて過度な性生活は「腎」を消耗するとされます。特に「腎」が衰えてくると言われる男性は64歳、女性は49歳を過ぎてからは節欲を心掛けるようにしましょう。
★体を適度に動かす
中国では「静養生」と「動養生」という言葉があります。「静養生」とはゆっくりと呼吸をしたり、読書、会話などを指します。少なくとも家でずっとテレビを見たりするよりは、呼吸に気を付けたり、のんびりとした時間を過ごすことが大切なのではないでしょうか。
また「動養生」とは、体操や散歩などをする養生法です。高齢になってからの激しい運動は良くありません。太極拳のような、ゆっくりとした動きで身体を動かすと良いですね。
★血液サラサラを目指す
年齢と共に必ず進むとされる「お血」。血行不良のことですが、「お血」は心臓病、脳血管の病気、その他がんの一つの原因となる場合もあり、万病の元と考えられます。この「お血」対策を取っていくことも非常に大切な部分です。
「お血」には前述したような運動が一番ですが、食事にも気を付け、納豆、青魚、ネギ類、酢の物などを積極的に摂るようにしましょう。
★胃腸を大切にする
胃腸(中医学で云う「脾」)は食べ物から体を動かす「気(エネルギー)」を生成する重要な器官です。この「胃気」が無くなると食欲がなくなり、食べ物が食べられないから人は死んでしまうともされているほどです。
食事はゆっくりと食べ、味は薄味として、火を通した温かいものを食べるようにして、「脾」の負担を抑えます。また、新鮮な旬の地元の食材を摂るようにすることも大切とされます。
以上、主な長寿の養生を挙げてみました。分かっていても実践することは簡単ではありませんが、健康で長生きするために、ぜひ覚えておきましょう!