音楽と漢方.jpg優れた音楽を聴くと心が晴れやかになり、身体もなんだか軽くなる、という経験は誰しもお持ちではないでしょうか。ジャンルの好みはあるにせよ、歌や音楽が全く嫌いだという人を私は聞いたことがありません。人間は昔から楽器を打って生活していたのでしょうし、私たちの遺伝子に刷り込まれている部分もあるのではないかと思います。
このような音楽の効能は病気の治療にも役立つ部分があると感じます。調べてみると「音楽療法」という言葉があり、「日本音楽療法学会」という組織もあるそうです(あの日野原重明先生が理事長です)。
私は音楽の専門家でもありませんし、詳しいことは分かりませんが、それでも音楽が体の調子を向上させる効果は必ずあると思っています。そのような考えもあり、当店では有線を使って常に音楽を流しています。
さて、漢方と音楽の関係ですが、古来より治療のために音楽が使用されていたという記録は、漢方の教科書的存在である「黄帝内経」にも残っています。しかしながら、音を記録する手段がなかったという点から、具体的な治療方法は伝わってこなかったというのが現状だと思います。私も漢方の勉強において、音楽による治療方法を習ったことはありません。よってこれから述べていく内容も個人的な見解である点をご理解ください。
音楽を中医学的に考えた場合に、「耳」と関係する五臓の一つ「腎」に対する作用がまず考えられるのではないかと思います。そして、単純に考えても気持ちの安定に働くことから「心」への作用、リラックスさせ身体の中の流れを良くすることから「肝」に対する作用などが考えられるのではないかと思います。その他ポイントと私が考えている内容を列記してみます。
※高音は陽、低音は陰
よって、「陽」が高まっている時、たとえば暑がりでイライラしやすいタイプの方は、低音が中心の音楽の方が良いように思います。例えばですが太鼓の音などでしょうか。逆に「陰」が優勢な時、すなわち冷えやすく元気がない時などは、オペラなど高い音が中心の楽曲がいいと感じます。
※早いリズムは陽、遅いリズムは陰
これは当たり前かもしれませんが、上記と同様で「陽」が亢進している方は、ゆったりとした調べがおススメで、「陰」が優位な際には、賑やかでテンポの良い音楽が合っているように思います。

※「肝」に良いのは安定した曲調

「肝」がバランスを崩している時、すなわち気持ちが不安定で自律神経が乱れている状態では、ラップのような不規則なリズムがある音楽は合わないと感じます。またクラシックもやや変化が激しい曲が多いように思います。
※日本人には日本古来から使われていた楽器の音が良い
琴や笛、太鼓の音などは聞くとどこかほっとしませんでしょうか。時代遅れと言わずに、これらの音を使った音楽をどんどん聞いてみてはいかがでしょうか。日本人の体のすみずみに沁みわたるような気がします。
いろいろと述べてきましたが、原則としては聞いて楽しいと感じるかどうかが一番です。歌謡曲であっても流行うんぬんではなく、自分のお気に入りの歌を聞くと健康にも良いと思います。音楽も薬になります。どんな病気であっても、音楽の調べにのせて、身体から「邪気」を追い出してしまいましょう!