肉と漢方.jpg健康な生活を考える時に、とかく敬遠されがちなお肉。カロリーが高くてどちらかというとヘルシーではないイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
先日私が講義を受けた際も、中医学講師の先生が「日本人は農耕民族だからお肉はあまり食べるべきではない」と話していました。この「農耕民族だから…」という話を聞くと、私はちょっと待てよと思ってしまいます。なぜなら、日本でも昔から魚や貝はもちろんのこと、イノシシなどを食べていたという話を歴史で習っていたからです。もっと昔はマンモスも狩っていたのですよね。その後稲作の文化が伝わって、確かに米が主食になったのかとは思いますが、その後も狩猟も合わせて行っていたはずです。
そして対比される狩猟民族と言われている欧米人も麦を中心に農耕文化もあったはずです。要するに農耕、狩猟と明確に分けられる問題ではなく、あまり日本人は農耕民族だから…と考え過ぎなくても良いとは感じます。
少し話はそれましたが、お肉は確かに負の面もありますが、メリットもたくさんある食材と感じます。その栄養価は抜群で、タンパク質だけでなく、ビタミン類も多く含まれます。身体を成長させるためにはもってこい。成長期の中学生や高校生がお肉を好むのは当たり前のことだと思います。
漢方的には「気」「血」を生み出す力に優れた食材です。元気がなく、貧血気味の女性はお肉を敬遠しすぎているケースが多く見られます。特に消耗が進む生理中はお肉をしっかりと食べるべきと考えます。
逆にマイナス面と言えば、消化が悪く、胃腸に負担がかかるという点であると考えます。日本人は胃腸が弱い傾向があるため、お肉の食べ過ぎはやはり控えるべきでしょう。
その他、お肉を食べる際のポイントを私なりに考えてみました。
★赤味を中心とする…脂肪分の摂りすぎは漢方でいう「痰湿(体の中の不要物の蓄積)」の原因ともなります。もちろん胃腸にも負担がかかりやすくなりますよね。
★牛、豚、鶏を使い分ける…総合的に見て、牛よりも豚、豚よりも鶏の方が体には良いとされます。また豚はやや「冷」の性質、牛と鶏は「温」と考えます。自分の体質に合わせて選ぶと良いと思います。
★調味料を考える…肉料理は味付けが濃くなりがちな点がネックになっているように思います。薄味を心掛けると良いでしょう。
★付け合せの野菜をしっかりと摂る…お肉だけの食事はやはり栄養バランス的にも良くありません。野菜を摂ることで身体にも優しく吸収されます。
ちなみに羊肉は漢方薬でも使われる、体を強く温める食材です。
これだけ焼肉文化が広まり、楽しく美味しく食べている方が多い現状、お肉を避けるのではなく、上手に摂る方法を考えるべきと思います。最近は高齢者もお肉を食べるべきだという意見が出ているようです。これは個人差があり、胃腸の強さとの相談になると思いますが、「気」「血」を補充した方が良い、活力が低下気味のお年寄りは多少なりともお肉を摂った方が良いのではないでしょうか。
ちなみに「どうしても焼肉を食べたいがいつももたれて困っている」などと云う方には「晶三仙(しょうさんせん)」がおススメ。漢方の消化剤的な役割があり、お肉を食べても胃腸への負担がかかりにくくなります。ふりかけるとお肉を柔らかくする効果も…ぜひお試しくださいね。