山芋と山薬.jpg山芋といえば、とろろ。とろろをアツアツのご飯にかけて、少ししょうゆをたらして食べるととても美味しいですよね。とはいえ、あとはマグロに混ぜたり、野菜とあえたりするぐらいで、料理のバリエーションはあまり多くない食材かもしれません。
しかし、「とろろは精力がつく」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、漢方では非常に優れた生薬として、様々な処方に活用されている、いわば薬用植物なのです。もちろん、スーパーで売っている山芋と、漢方薬として使われている山芋の質は異なるかもしれませんが、それでも同じ力を持つ食材であることは間違いないのです。
ちなみに山芋はトロロイモ、長芋、自然薯とも呼ばれて売られていることもあるかもしれませんが、基本的には同じ種類の植物のようです。
さて山芋は、生薬名は山薬(さんやく)と呼ばれています。山薬は平性(温めもせず、冷やしもしない)で、効能は主に「脾」すなわち胃腸系を補うとされます。また、「腎」いわゆる生命力や生殖力を補う力があるため、「六味地黄丸」という代表的な「補腎薬」にも含まれています。そして「養陰」の作用を持つために、「補腎陰」の生薬として考えます。
具体的には、食欲不振、軟便などの胃腸症状、頻尿や不妊などの他、老化防止にも用いられます。
当店で扱っているお薬、例えば「星火健脾散(せいかけんぴさん)」や「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」などにも「山薬」は含まれているのですよ。
このように、とても力がある山芋ですから、普段から食事に取り入れて損はありません。冒頭でも触れたように、ちょっと料理しにくい食材ですが、「腎」に良い食材は、長生きにもつながります。少量ずつで構いませんので、工夫して摂っていけるといいですね。
ただ山芋を食べると口の周りが赤くなったりすることもあるように、多少刺激が強いと考えられます。極端に食べ過ぎないように注意したいところです。
ちなみに里芋も山芋ほどではありませんが、似た作用を持っていると考えます。山芋はちょっと…という方は、里芋がいいかもしれませんね。