ウンチは体調を表すとよく言われますね。しかし、ウンチはやはりプライベートなもので、他人との比較は家族であってもなかなか難しいと思います。よって自分のウンチが良いのか悪いのか、判断も難しいかもしれません。とはいえ、体調を表す貴重な目安であるウンチの状態を、自身で把握しておくことはとても大切です。「汚いもの」と毛嫌いせず、生きていれば誰でもするウンチの状態チェックを心がけてみましょう。
もちろん中医学でもウンチの状態は体質判断の材料の一つとなる、大事な要素です。体の中は見えなくとも、消化吸収を経て体内から排出される便を見れば、ある程度、体の中の状態を推測することが出来ると考えます。
また、ウンチを出すことによって、体の中の「邪気」を追い出すという治療法もあります。下法と云いますが、このようにウンチは中医学において非常に大事な役割を担います。
では具体的に、体質の指標となるウンチの状態をみてみましょう。
★ウンチの色が黒い
ウンチが黒い場合には、胃などからの出血を表します。漢方的には「胃熱」などの要素が考えられ、過剰な食欲がある場合などは、「胃熱」を除く「半夏瀉心湯」などの処方を服用すべきでしょう。なお、大腸がんなどの可能性もあるので、便が急に黒くなった時などは病院での検査が必要です。
★ウンチがとてもくさい
ウンチはくさくて当たり前ですが、腐敗臭のようなひどいにおいの場合は、「食積」「湿熱」など、不要物が消化器官に残っている可能性が高いでしょう。この場合は暴飲暴食を避け、「晶三仙」などの処方で消化を助けて、たまった不要物を除去するとよいとされます。
★コロコロウンチ
よく言われるうさぎのウンチのようなコロコロ便は、基本的には腸の乾燥から生じます。水分摂取を多めにすることが肝心です。ただし、この腸の乾燥が生じる原因は様々で、「陰虚」や「血虚」による潤い不足のケースもあれば、「熱」が関係しているケースもあります。また、高齢者のコロコロ便は「肺」の潤いや力不足が原因のこともあります。いずれにしても専門家による体質判断が必要でしょう。
★形のない軟便
軟便が普通と思っている方も多いようですが、便器に落ちて形が崩れてしまうような便は良い状態ではありません。「脾虚」の可能性が高く、胃腸機能のアップを図らないと、体の不調が後々出てくることになります。冷たい飲み物やお菓子類、生ものは出来るだけ控えて、「健胃顆粒」などの胃腸機能アップの漢方薬を服用するとよいですね。
すっきりと便が出ると、気持ちも晴れ晴れしますが、便秘であっても下痢であってもお通じの不調は精神的にも負担がかかります。「まあいいや」と放っておかず、早めに漢方などで対策が出来るといいですね。
便は体調のバロメーターと考えて、常日頃からチェックしていきましょう。