子供の頃、教科書で習った「貝塚」の例を挙げるまでもなく、日本人は昔から貝を良く食べてきたと思われます。昔は今よりも海産物が多く採れたのではないかと想像されますが、動き回る魚と違い、貝であれば、子どもから老人まで比較的簡単に採ることが出来ますものね。重要なタンパク源になっていただろうことは想像に難くありません。
となれば、日本人の身体と、貝の相性は良いのではないかと考えられます。やはり長い間食してきた食べ物に対して、体は順応します。

さて、貝と言っても様々な種類がありますが、アサリ、シジミ、カキ、アワビ辺りが代表でしょうか。私はカキは食あたりの経験が合って苦手ですが、広島の厳島に行った時はカキのお店に行列が出来ていて、「人気があるのだなあ」と実感しました。アワビも高級食材の一つですし、ホタテが好きと云う方も良く耳にします。

貝と漢方の歴史も古く、貝殻が生薬として使われるなどします。牡蛎(ぼれい)はカキの貝殻で、石決明(せっけつめい)はアワビの貝殻です。
そして貝の身は基本的に「脾」すなわち胃腸系に良いとされます。また、鹹味(塩辛い)である貝は「腎」にも作用する食材です。「腎」は生命力と関係する臓ですから、貝を食べることが長生きにもつながると考えられます。
その他、貝の種類によって異なる特徴もあるので、下記に記してみました。

アサリ…渇きを止めて、お小水の出を良くする。高血圧対策にも。

シジミ…「肝(自律神経系)」に良い。

カキ…滋養効果。「肝」に作用し、精神面の安定につながる。

アワビ…めまい、頭痛、不眠などに良い。

ちなみに貝は「涼性」「寒性」が多く、体を冷やします(上記の中ではアワビのみ平性)。よって、冷え症の方は食べ過ぎに注意しましょう。
それから最近シジミのサプリメントを目にしますが、やはり食べ物はそのままを食べた方が体に良いはずですし、シジミだけで何か症状が改善するとは思えません。そして、出来ればシジミだけでなく、様々な種類の貝を食べるようにした方が良いと考えます。

胃腸にも良く、滋養にもつながる貝は、日本人の身体と相性の良い食材であると思います。旬の時期に気をつけつつ、毎日とは言いませんが、週に1度は貝を食すようにしてみてはいかがでしょうか。