ばね指と漢方.jpgばね指は40歳代から60歳代の女性に多い症状です。原因は分かっていませんが、手指を多く使う方に多い傾向があり、また症状の発生しやすい年齢からホルモンの関与が疑われています。
指の関節が思うように動かないと、日常生活において非常に不便となります。特に家事を担う女性の場合は細かい作業も多く、ばね指が大きなストレスになることも多いようです。病院ではまず消炎鎮痛剤やシップで対応するケースがほとんどですが、指を安静に動かさないで過ごすことはなかなか難しいのが現状でしょう。また、良くなったり悪くなったりを繰り返す場合もあり、根本的な解決にはなかなか至りません。その後ステロイドが考慮され、あまりにひどい場合は手術という形になりますが、その前に一度漢方を試すという手もあるのではないでしょうか。
漢方の理論で考えると、ばね指の原因は「お血(おけつ)」が第一に考えられます。「お血」とは簡単に言えば血行不良のことです。中医学には「痛む場合には”通っていない”と考えよ」という教えがあり、ばね指で関節痛がある場合にも、やはり”血液が通っていない”と考えるのです。よって「お血」を改善するお薬として「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」や「疎経活血湯(そけいかっけつとう)」などの服用を検討します。
また「痰湿」といって余分な水分が邪魔をしているケースもあります。その場合には「痰湿」を取り除く漢方薬である「温胆湯(うんたんとう)」などの併用が必要となる場合もあるでしょう。
ただし同じばね指という症状であっても、人それぞれで適する漢方薬が異なります。漢方薬局などでよく相談のうえ、服用をお決めください。
なお乳幼児にみられる強直母指や、妊娠中によくみられるドケルバン病という病気もばね指と似た症状であり、漢方での対処も原則は大きく異なりません。しかしドケルバン病が妊娠中に起こった場合には、赤ちゃんへの影響も考え、より慎重な対応が求められます。一度は漢方の専門家にしっかりと相談して対処を仰ぎましょう。