もやもや病と漢方.jpgもやもや病は日本で初めて報告された疾患であり、moyamoya-diseaseと国際的にも呼ばれています。病気が起こる原因は分かっておらず、脳動脈が詰まるなどしたうえに毛細血管の異常集積が発現します。この異常血管網中の血液が足りなくなると、マヒや感覚障害を引き起こします。さらに血管が破裂することにより、頭痛を中心としたいわゆる脳卒中と同じような症状が発現します。
5歳を中心として子供にも多い疾患であり、遺伝性であると考えられています。MRIなどによって診断は容易ですが、医学的には治療法が確立されていません。重篤な場合は手術という選択肢がありますが、出血が起きなければ問題ない場合もあるため、経過観察となること多いようです。よって軽度であれば、頭痛を和らげるためにバファリンが処方される程度でしょう。
血管の異常発達という、物理的な問題がもやもや病の特徴であるため、漢方でも対処が難しいことは間違いありません。とはいえ、中医学でいう「お血」すなわち血液の循環が悪い状態であることを疑う余地はなく、血行を改善するタイプの漢方薬が発作の防止などにつながる可能性は高いと考えられます。
例えば「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」は脳血流の改善効果が知られているため、もやもや病にも有効であると思われます。
また、虚血によって症状が引き起こされやすいことから、「補血」の働きがある「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」などのお薬も服用した方が良いお薬となってくるでしょう。
さらには「血管が異常に新生される」という、いわば免疫とも関係した病気であるため、免疫調節機能のある漢方も服用を検討するに値すると考えます。
片頭痛として見逃されている場合もあると思われるもやもや病は難病指定されているとおり、治療の難しい疾患ではありますが、漢方の理論で養生をしたり薬を飲むことは決して無駄ではないように思います。