リウマチと漢方.jpgリウマチは比較的発生頻度の高い自己免疫疾患であり、有病率は1%とされます。比較的4,50代の女性に多いとされますが、最近は若い男性や女性にも増える傾向があるように感じます。古くからある病気ですが、未だに原因は分かりません。リウマチの方の関節は炎症が起き、サイトカインという体内の物質が増えていることが確認されますので、免疫の異常によって自分の体の攻撃を行ってしまうことが痛みの原因と考えられています。
最近はリウマチを治療する薬がたくさん出てきています。しかし、もともと自己免疫疾患を治すことは難しく、その副作用が強いことも懸念されています。
とはいえ、歩行が難しい場合や手の動きが不自由で日常生活に大きく支障をきたす場合などは、積極的に抗リウマチ薬やステロイドなどで治療すべきでしょう。また痛みが激しい時には我慢せずに鎮痛剤などを使用することも必要になると思います。
ただしリウマチは慢性の疾患です。ということは長期に薬を服用する必要があり、やはりその副作用が気になってきます。特に他にも持病を持ち体力が落ちている高齢の方は、強い薬の服用に依って逆効果となる場合も考えられますし、若い方もこれから一生薬を飲む可能性もあることを考えると抵抗を感じてしまうことは必然です。そのような時に漢方薬での対処は一つの手段となり得るでしょう。
リウマチの原因を漢方的に考えた場合、様々な要因が絡んで発症しているケースが多いようです。そもそもリウマチは炎症性の疾患ですから”熱”が存在すると考えます。また、よく台風や天気の崩れで悪化するケースが多い点から”風”や”湿”の”邪”の存在も疑われます。さらには血行との関係もあると考えられ「お血」体質の可能性も考慮します。
そして関節と云う「骨」の問題と捉えて、”腎”すなわち生命力の衰えという面からも体質判断を行う必要があるでしょう。
もう一点付け加えれば、ストレスと関係して「肝血」の消耗が起こり、関節の動きか阻害されているという状況もあり得ます。
以上のように、リウマチの原因を中医学的に捉える時は、様々な漢方的な病因を考えていかなければなりません。しかし敢えて何か一つ漢方薬を上げるとすれば「イーパオ」ということになるでしょう。「イーパオ」は食用のアリを主成分として、ハトムギやカッコンなども含みます。アリには「お血」を改善して血液の流れを良くする作用と、「腎」を補って生命力を高める力があるとされます。またハトムギとカッコンで「湿」すなわち余分な水分を取り除く作用もあります。
「平性」といって熱の偏りも少ない漢方ですから、どなたにでも合わせやすい漢方です。
その他”熱”が強い時には「白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)」や「越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)」など、「お血」が強い時には「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」や「疎経活血湯(そけいかっけつとう)」などの漢方が考えられます。
しっかりとした判断を専門家にしてもらい、もっとも体質に合ったお薬を服用しましょう。