花粉症漢方.jpg毎年春先になると辛い思いをすることになる花粉症。「私は絶対に花粉症にならない!」と根拠なく思っていても、残念ながら発症してしまう方も多く、どなたにも起こり得る疾患だと感じます。風邪の次に身近な”病気”かもしれませんね。
花粉症が一般的に認知され始めたのは意外に最近であり、スギ花粉症の日本での最初の報告は1961年(昭和36年)です。それまでも症状を訴える方はいたのかもしれませんが、数は多くなかったのでしょうね。
また、社会的に認知され始めたのは1990年代の平成になってからであり、それに伴い研究も進んできました。しかし今でも2000万人ほどの患者いるとされます。
ちなみに最も患者数が多いと思われるスギ花粉だけでなく、ヒノキ(3-5月)、イネ科(4-10月)、ブタクサ(8-9月)、ヨモギ(10-11月)も原因となります。真冬以外は1年中何かしらの花粉が飛んでいるということですね。もちろんスギには反応せずブタクサに敏感な方もいれば、その逆の方、全部に反応してしまう方などパターンはそれぞれです。
医学の現状では、花粉症の根本的な解決法で確立されたものはありません。ただ、一般的な投薬に依る症状軽減の方法や、手術・免疫療法などもある程度明確になってきています。もっとも身近な薬に依る対処にしても、数年前までは眠くなるという副作用を持つ「抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミンなど)」が主に用いられていましたが、今ではその副作用を軽減したお薬が発売されています。
一方で西洋薬の副作用を嫌うなどして、以前からも漢方薬を使って花粉症の対処を行っていた方も多数ありました。漢方薬は体に優しい上に、もちろん眠気の副作用は皆無です。また予防を考えることが出来る点もポイントではないでしょうか。
漢方薬で花粉対策を行うことに依り、体全体のバランスの調和にもつながり、体調自体がアップするという点もメリットです。飲んでから効果がでるまでに時間がかかると思っている方も多いかもしれませんが、基本的に花粉症の薬は飲んですぐに効果が出ます。
花粉症の方はいくつかの選択肢がありますので、ぜひ納得の上で対策を立ててみて下さいね。ちなみに漢方と病院の薬の併用もまず問題ないですが、念のため専門家にご相談下さい。
さて花粉症に用いる事が多い、漢方処方を具体的に並べてみました。それぞれの特徴を把握してもっとも適したお薬を選択しましょう。
衛益顆粒…予防に用いることが多い漢方薬です。「衛気」と呼ばれる体のバリア機能を高めて、花粉の侵入をブロックします。体質改善も期待できるため、このお薬を服用しつつ、症状の軽減のためのお薬を用いる方法がもっとも良いと考えます。
小青竜湯…花粉症の漢方薬と言えばこの処方。ただどのようなタイプでも合う訳ではありません。薄い鼻水が多く出て、くしゃみも頻繁で寒気もあるようなケースで、まだ寒い時期の花粉症にはマッチします。逆に目の痒みや喉の痒みにはあまり効果は期待できないでしょう。
天津感冒片…風邪の漢方薬ですが、小青竜湯の逆タイプの熱っぽい症状の時によく効きます。特に喉の痒み痛みにはよいでしょう。
越婢加朮湯…目の痒みにはこのお薬が最適となるケースが多いと思います。「香菊花」という菊の花の漢方を組み合わせるとなお効果的です。
辛夷清肺湯…鼻詰まりがひどい方に合う場合が多いでしょう。このお薬もどちらかというと”熱”タイプの花粉症に用います。
その他にも花粉症に使用する漢方はたくさんありますし、上記のお薬を組み合わせて使った方が良い場合も考えられます。専門家によく相談して、ドラッグストア等の「花粉症に効く!」といったポスターに惑わされずに薬の種類を選んでいきましょうね。
ちなみに花粉症の方は、胃腸系への負担を減らした方が症状が軽減するとされます。シーズン中は特にお刺身などの生もの、冷たい飲料や食べ物、チョコレートや生クリームなどは控えめにするといいですね。またアルコールや香辛料も量を減らしてみましょう。
そして睡眠不足を避け、体を元気に保つようにすれば、きっと症状は軽減しますよ!