腎のう胞.jpg腎のう胞は、腎臓にのう胞が生じる病気です。のう胞とは、水風船のようなもので、健康診断などの超音波検査で腎臓に黒く色が異なる部分が認められて発見されるケースが多いようです。最初に病気と書きましたが、自覚症状があることはほとんどなく、検査で偶然に発見されることが多いとされます。しかしのう胞が大きくなってしまうと、血尿が出たり、痛みを生じたりします。
なお先天的な多発性のう胞腎などの疾患もあり、その場合には病院での治療が優先となります。
腎のう胞は、加齢とともに頻度が増加するとされます。また女性よりも男性に多いという報告もあるようです。そしてのう胞が一つのこともあれば、いくつも見つかることもあります。後天的な腎のう胞については、原因は不明です。
以前は見つけられることが少なかった腎のう胞も、最近の超音波、CT、MRIなどの画像技術によって簡単に診断されるようになりました。「腎のう胞がありますね。しかし特に治療は必要ありませんよ」と医師に言われたとしても、知ってしまうとやっぱり気になってしまうように思います。とはいえ、のう胞は水ぶくれのようなものですから、自然に消えてしまうこともあります。そして医学的には手術以外に治療法もありませんし、たとえ一度穿刺したとしても再発の可能性があります。よって、症状がない間は忘れてしまうぐらいの気持ちの方が体にいいように思います。
そうは言っても気になる方は、漢方的な対策をお勧めします。もちろん腎のう胞に効果があると証明された漢方薬はありません。しかし、「腎」に良い漢方薬はありますし、のう胞を水と考えれば、余分な水を取り除く漢方も存在します。自覚症状がないことが多いので、腎のう胞という病名を踏まえての漢方薬となりますが、決して体には悪いものではなく、体調を整えるためにも有用ですから、服用を検討してみてはいかがでしょうか。
いわゆる「補腎薬」と呼ばれる漢方薬は「参馬補腎丸(じんばほじんがん)」「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」など多数ありますので、腎のう胞にとらわれずに体質に合った漢方薬を選択していくことが必要です。そのためには漢方の専門家に相談をするようにしましょう。
なお、漢方で云う「腎」は生命力と関係し、加齢とともに衰えるとされます。年齢とともに増える傾向のある腎のう胞の特徴と一致しますね。また個人的には腎のう胞と疲労との関係もあるように思われます。その観点からも「腎」の生命力を補う漢方は合っているように感じます。
経過観察となることが多い腎のう胞ですが、やはり体の中の変化は、何かしらの身体からのサインと考えても良いと思います。過度に意識しすぎる必要はありませんが、「腎」を労わる生活習慣を心がけ、漢方薬も活用できるといいですね。
(参考図書;今日の治療指針(医学書院))