加齢臭と漢方.jpg人間が発する臭いは基本的には自然なもの。あまりに気にし過ぎる必要はないと思いますが、家族や周りの人々から言われたりすると、「嫌な気分にさせたくない」「迷惑をかけたくない」と考えてしまうこともあるのではないでしょうか。いわゆる加齢臭も同様で、特に男性に臭いが強いケースが多く、奥さんや子供から指摘されて悩んでしまうこともあるようです。
また奥さんがどうしても臭いを受け付けず、何とかしたいと考えることもあるかもしれません。女性の方が臭いに敏感な面があるのかもしれませんね。
ちなみに私は男性だからかもしれませんが、女性の加齢臭もあると感じます。場合によっては男性よりも深刻になるケースがあるかもしれません。
さて加齢臭について医学の見解を調べようと医学書を調べましたが、記載は見当たりませんでした。臭いは生死に関わることでもありませんし、研究もあまりされていないのかもしれません。
とはいえ、化粧品メーカーなどが加齢臭の原因物質を研究し、ノネナールという成分が関与している可能性を報告しているようです。
いずれにしても画期的な加齢臭対策は無いというのが現状でしょう。
となれば漢方の出番となります。漢方の教科書を見ても、加齢臭という言葉はありませんが、臭いを体質判断の参考にするという歴史は古くからありますので、対処できないことはありません。もちろん加齢臭に効くことが証明された漢方薬はありませんが、体質をきっちりと把握し、適切な漢方薬を服用すれば、臭いは軽減すると考えられるのです。
また加齢臭が強い場合には、体のバランスが崩れている可能性も示唆されます。健康維持のためにも漢方薬の服用を考えてみても良いのではないでしょうか。
漢方の理論で加齢臭を考えると、まず「腎」という老化に関係する”臓”の状態を考慮します。「腎」は年齢とともに必ず衰えますが、「腎陰」と「腎陽」のバランスが悪い場合、特に「腎陰」が不足している時に加齢臭となる可能性が考えられます。
「腎陰」が不足すると”熱”が発生しやすくなり、この”熱”が臭いの原因となることが多いのです。
また、「腎陰」不足の方は、「湿」と呼ばれるこれも臭いの原因となりやすい物質がたまりやすい傾向があります。これが”熱”と合わさるとさらに臭いが強くなってきます。
よって「補腎陰」の薬と定義されている漢方薬や、「湿」を除く漢方薬が加齢臭対策となることが多いように思います。
具体的には「瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)」などが考えられます。
しかしながら前述したように、同じような加齢臭を持つ方であっても、その体質は千差万別。細かな違いを見極めて漢方薬を選択することが必要です。ぜひ漢方薬局で相談をしてきっちりと体質判断をし、気になる臭いを追い払ってくださいね。