便が溜まるいわゆる「宿便」。ダイエットとの関連もあり、気になっている方も多いことと思います。ただ、「宿便」は医学的に認められた用語ではなく、その存在を否定している専門家も多いようです。現に、大腸を内視鏡で見ても宿便は確認できないとのこと。
ではなぜ宿便という言葉が広まり、周知の事実のように語られているかというと、多くの人が実体験として、宿便と思われる溜まった便の存在を感じたことがあるためと思われます。そして、その宿便が出た時に体調不良が改善されるという事実があったと考えられます。よって、医学的に証明されていないにせよ、宿便を理解し、改善を試みていくことは大事であると感じます。
まず宿便によって具体的に起こるとされる症状を下記に挙げてみます。
★ガスが多くなり、お腹が張る
★お腹がぽっこりとふくらみ、体重が増える
これらは普通の便秘でも言われることですが、宿便の場合には腸内細菌のバランスが崩れて、いわゆる悪玉菌が優勢となり、代謝も悪化し、下記のような病気の原因にもなるとされます。
★皮膚炎
★がん(特に大腸がん)
★血液がドロドロとなり、頭痛や肩こり、さらには心筋梗塞や脳梗塞の危険も高まる
しかしながら、前述したとおり、これらは科学的に証明されている訳ではありません。
さて宿便を中医学的に見るとどのように考えられるでしょうか。便の滞りですから、体に不要な老廃物であり、「痰濁」と呼ばれる状態に当てはまると思われます。そして、食べ物の流れが悪いのですから、「気滞(エネルギーの停滞)」「お血(血行不良)」などもありそうです。
上記に挙げた症状で云えば、皮膚炎やがん、体重増加は「痰濁」が関係していることが多く、ガスの増加やお腹の張りは「気滞」、毛血行の問題は「お血」です。要するに宿便体質も、これらの体質の対策が出来る漢方薬の服用で解決できる可能性が高いと考えます。
よって具体的に宿便対策の漢方薬としては、便通を改善する効果のある、「清営顆粒」「桃核承気湯」「大黄牡丹皮湯」などが最初に挙げられるでしょう。これらに合わせて、「痰濁」であれば「晶三仙」など、「気滞」であれば「開気丸」、「お血」であれば「冠元顆粒」などを組み合わせていくと良いと思います。
宿便については気にし過ぎる必要はないと感じますが、排便がスッキリと「出切った」感があることは大切と思います。やはり便が快調だと気分がいいですよね。万病の元とも言われる宿便対策を、漢方薬を使ってぜひ実践してみて下さい。