笑顔が一番-よろず漢方薬局のきままなブログ

静岡県裾野市(三島市、長泉町、御殿場)よろず漢方薬局から様々な話題をお届けします

遠志(おんじ)の物忘れの効能

time 2017/08/26

最近、生薬の遠志(おんじ)を使った商品の広告を目にします。
物忘れに効果があると大々的に謳っていますが…

問題だなあと考えることは、遠志単独で物忘れに効果があるとは到底思えないことです。
もちろん、効果がある方がゼロではないでしょうし、効いたというテータがあるから、効能として認められたと思われ、反論するならそのデータを見てからでなければならないのですが…

教科書的には遠志は安神薬の一つで、ココロが落ち着かず、動悸や不眠症状がある時に用いる生薬です。
また化痰、すなわちココロの働きを邪魔する”痰”を除く作用があるため、”痰”が邪魔をして生じた健忘に対して使用されます。
しかし健忘、物忘れが生じる原因は”痰”だけではなく、「腎虚」など加齢に伴う健忘の方が多いように感じます。
よって遠志が全く効かない健忘は多いと考えられます。
そもそも遠志が単独で使われることなど聞いたことがなく、他の生薬との組み合わせが漢方薬の本来の形です。

さらには遠志は温性ですから体を温め、”痰”を除くということは、乾燥させる性質を持ちます。
よって単独で大量に服用すると、高齢者に多い、乾燥してほてりがあるような方は、その症状が悪化する懸念さえあります。

このようなことが起こってしまうのが、西洋医学的な使い方で漢方薬を使用している、今の制度上の問題なのですよね…
漢方の理論を用いて、漢方薬が使用される体制となるよう、、何か手を打たなければならないと思っています。

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