笑顔が一番-よろず漢方薬局のきままなブログ

静岡県裾野市(三島市、長泉町、御殿場)よろず漢方薬局から様々な話題をお届けします

病は気から 死は薬から

time 2022/06/18

書籍「病は気から 死は薬から(塔山郁著:宝島社)」を読みました。
薬剤師の毒島さんが活躍するこのシリーズのことは知っていましたが、この作品は漢方に詳しい薬剤師が登場するとのことで、興味津々読んでみました。

「このミス」大賞シリーズということですが、推理小説というわけではなく、薬が関係する身近な事件が起こり、主人公の薬剤師毒島さんが薬の知識を使いながら解決していくという感じですね。
作者の塔山さんは薬剤師ではないようで、男性とのこと。
かなり専門的な内容が書かれているのですが、巻末に参考図書が列記されていて、その知識が元になっているでしょう。
一般の方にはちょっと難しいかなあ、読み飛ばしてしまうだろうなあ、という部分もあるのですが、漢方医学を知るにはうってつけとも言えます。
漢方については流派など見解が分かれる部分も多いので、小説の中ですべて説明することは難しいです。
それを出来る限り分かりやすく書いてあるのはさすが小説家だなあ、と感心します。

個人的には作中にある16世紀の科学者パラケルススの「この世のすべてが毒であり、それを薬とするのは量の問題だ」という言葉が印象に残りました。
生物学を勉強すると分かるのですが、食べものも酸素も水も、これらを体に取り入れることは、見方を変えれば体に負担となります。
しかし、食事をして水を飲み、呼吸をしないと人間は生きていけません。
要するにエネルギー産生というメリットのために、ある程度のデメリットを甘受しています。
薬も同様で、病気を治すというメリットと副作用というデメリットを天秤にかけて、それを服用するか決めていきます。
まあ量ですべてが決まってしまうとは言えないのですけどね。

ということで、この書籍、ご興味のある方はお読みになってみて下さいね。

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