2024/04/19
日本薬剤師会雑誌の第63巻第10号に表題に示した通り「がん診療における漢方の役割」という記事が載っていました。
医師の間においても、ある種の漢方薬ががん医療上で有用とのコンセンサスは形成されている、との内容がありました。どちらかと言えば、がんそのものに対してという訳ではなく、がんという病気を起因とする様々な不快症状の軽減に役立つ、という内容ではありますが、こういった形で漢方薬に対する認識が深まるというのは良いことだと思います。
しかし記事の中の表には全身倦怠感に十全大補湯や補中益気湯などと説明されており、体質判断に関してはくわしく示されていません。確かに倦怠感には上記の漢方薬を使って間違いないことも多いのですが、十全大補湯は食欲が落ちている時や胃腸が弱い方には不向きです。そして暑がりの方には原則として向きません。
そのような点まで考えて処方している医師がどれだけいるのであろうか不安です。
ただし、がんの医療に漢方薬が有用ということのアピールは極めて大事です。そのことで漢方薬に興味を示す方が増えれば、医療従事者のレベルも自然にあがり、漢方薬も適切に処方されるようになり、がん患者の苦しみの軽減に役立つと考えます。
そうは言っても簡単ではない部分も多いため、まずは着実に一歩一歩進んで行ってくれることを願いますし、私も出来る限りのことをして漢方の普及に努めたいと思っています。