尋常性白斑は、患部の色素細胞の消失または色素産生細胞の機能不全によって起こる皮膚疾患です。皮膚の色が白く抜け落ちて目立つため、美容上で大きな問題となります。原因は完全には解明されていませんが、自己免疫疾患(自分の体を誤って攻撃してしまって起こる疾患)や末梢神経の機能の異常などが説として考えられています。
しかし尋常性白斑は治りにくい病気であり、根本的な解決方法はないとされます。ステロイドやUVB(紫外線)照射などが効果を上げる場合もありますが、基本的には根気よく治療を続けることが必要で、なかなか改善が見られないことも少なくありません。
ステロイドも長期で内服することは好ましくないため、治療を続けるかどうか悩む場面も多くなるでしょう。そのような時に漢方の服用を考えてはいかがでしょうか。漢方でも改善は決して簡単ではありませんが、体の内側からのケアで白斑以外の体の不調にも対処できるというメリットもあります。
さて尋常性白斑を中医学の考え方でみた場合には、どのようなことが考えられるのでしょうか。まずは「お血」です。「お血」とは血行が悪い状態であり、簡単に言えば血行不全により神経機能が障害されるなどして皮膚に影響を与えていると考えます。「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」などが候補のお薬です。
次に「気滞」です。「気滞」とは「気」すなわちエネルギーの停滞が起こっている状態を指します。この「気滞」により、色素細胞の機能に影響をきたし、白斑が起こると考えます。「気滞」はストレスから生じることが多く、その解決を漢方薬を使って行います。「逍遥丸(しょうようがん)」や「柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)」などが候補となるでしょう。ちなみに目の周りに白斑が生じた場合には、この「気滞」が原因であるケースが高いと思われます。
しかし原因が複雑に絡んで症状を引き起こしていると思われるケースも多く、同じ尋常性白斑であっても、その方に合わせてもっとも適切な漢方薬を選択することが必要となります。一度は漢方薬局でゆっくりと相談してから服用を始めましょう。
ちなみにインターネットで話題となったようで、”漢方ローション”を使う方が一時期多く見受けられました。補骨脂(ほこつし)30g、烏梅(うばい)60g、乾姜(かんきょう)10gをお酒に漬け込んで使用するというものです。
このことを漢方の先生に尋ねたところ「信じられない」という回答でした。もちろん良くなったという前例があれば試してみても良いとは思いますが…
ちなみにこれらの生薬は滋養に使ったり(補骨脂)、咳止め(烏梅)や冷え(乾姜)に使うもので、皮膚病には普通は使いません。ただ温性に偏るため、血行を良くし、それが結果的に改善につながっている可能性はあると思われます。
尋常性白斑と漢方
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