おできと薬.jpgおできは比較的短期間で治ることの多い疾患です。状態や場所によって様々な呼び名があり、「よう」「せつ」「ちょう」などもおできと同じような化膿性疾患を指すようです(漢字が難しいため、ひらがなとしました)。子供から大人まで比較的なりやすい皮膚病で、顔や背中、お尻などに出来やすい傾向があります。一度治っても繰り返し起こり、見た目も悪く、時には痛みが伴うため、生活に不便をきたします。
西洋医学的には膿皮症、毛嚢炎など、細かな区分けがあるようです。原因は黄色ブドウ球菌などの細菌感染であり、それに伴う炎症によって”うみ”がたまり、おできと呼ばれるような突起を生じるとされます。よって治療は抗生物質を内服して菌を退治し、場合によっては”うみ”を取り除く処置をします。しかし、おできは触ると痛いため、皮膚科での処置は苦痛となります。またお尻などに出来た場合には、診察が「恥ずかしい」という思いもあるでしょう。
さらには西洋医学の治療は予防効果は薄いため、一度良くなっても繰り返すことになりがちです。
さて、おできなど”できもの”に関しては中医学でもかなり細かな分類があります。おできにもっとも近いものは「よう」であると考えられ、理論上は「清熱解毒(熱を冷まし毒を排出させる)」「利湿(余分な水分を取り除く)」などの処置が基本となりますが、おできの状態などによって個別に対処方法を判断すべきでしょう。一般的には「瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)」や「五行草(ごぎょうそう)」などの漢方薬が合うケースが多いと思われます。さらには「五行草」や「中黄膏(ちゅうおうこう)」が外用薬として使用できます。
またおできを繰り返しやすい方は、「お血(血行不良状態)」や「痰湿(余分な水分の蓄積)」体質が内在しているケースが多いでしょう。その場合には、長期的な視点でこれらの体質を改善していけば、自然とおできが出来にくくなっていくと思われます。
特に食べ過ぎには十分注意をし、スナック菓子や脂の多い食材も出来る限り控えると良いと思います。その上で漢方薬を服用すると改善はなお早いでしょう。
おできは一般的には自然と治るため、放置している人も多いと思います。しかし体が発している何らかのサインと考え、漢方的な体質改善に取り組むといいですね。それが大きな病気の予防にもつながると思いますよ。